KDDIとJR東日本は、第5世代移動通信システム 「5G」の実証実験を共同で実施すると発表した。
同実証実験には3つの内容がある。
1つは、走行中における高速・大容量通信を目的とした実証実験だ。実験には、営業列車では検証できない様々な試験を実施するためのJR東日本の在来線試験電車「MUE-Train」を用いる。
高速で走行する列車内での高速・大容量通信を実現するために、ビームトラッキング (受信側の移動に合わせてビームの向きを変える技術)の検証を行うとともに、ハンドオーバー (受信側の移動に合わせて接続基地局を変更する技術) の性能を検証する。
また、高速・大容量通信の性能を検証するべく、先頭車両に設置した4Kカメラを用いて、高精細映像の送信や車内での8K映像ストリーミング受信を行う。
実施時期は本年10月中旬~下旬の予定だ。
2つ目は、駅ホームにおける電波伝搬試験だ。列車が頻繁に往来し、多くの乗客が乗降する駅ホームという環境下において、5Gで利用する28GHzという高周波数帯の電波の伝わり方を検証するとともに、電波が届く範囲を延伸するための要素技術であるビームフォーミング(ビームの幅を絞り電力を集中することで電波が届く範囲を延伸させ、通信品質を向上する技術)の検証を行う。
こちらの実施時期は、本年10月下旬~11月上旬の予定だ。
最後に3つ目は、遠隔地をVRでつなぐ5G体感イベント。上野駅で実施される地域再発見産直市と宮城県の南三陸さんさん商店街を5Gで接続し、VRを用いて上野駅にいながら南三陸さんさん商店街でのショッピングを体感できるイベントを開催する。
同イベントにおいては、ネットワーク上の伝送時間や高速・大容量通信についての検証を行うという。実施時期は2018年1月頃の予定だ。
【関連リンク】
・ケイディーディーアイ(KDDI)
・JR東日本(JR East)
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。