自民党では、主にIT系の政策を担ってきました。テクノロジーの分野を担う議員はまだ多くはありませんので、やりがいがあります。ブルーオーシャンが広がっていると感じます。
具体的には、自民党のIT戦略特命委員会(経産省と連携)と情報通信戦略調査会(総務省と連携)という組織に所属をしながら、政策提言にかかわってきました。たとえば、「政府CIO(Chief Information Officer)」というしくみをつくり、霞が関(中央省庁)の情報システム部門を一元化し、調達を効率化していくということを提言しました。
これは、まさにドコモの群馬支店で法人営業をしていた頃に(システムを売る側として)感じていた課題です。1718ある自治体が、それぞれで別の情報システムを調達するという、とても非効率なことをしているのです。
中央省庁の情報システムを効率化した結果、毎年1,000億円単位で経費の削減ができています。将来的には全国の自治体でシステムを標準化していきたいと考えています。
人生100年×テクノロジーで、持続可能な社会を目指す
小林: 昨年には、政府で「人生100年時代」という構想を打ち出しました。これは私や小泉進次郎さんなど当選4期目までの議員が中心になってつくったものです。
これまでの時代は、20年勉強して40年働き、20年の老後で人生を終えるといった「人生80年」を前提に、社会保障などの制度設計がなされていました。しかし、「人生100年」の時代には、そこに20年がプラスされます。「一体どうしたらいいのか」と、途方に暮れてしまうような話です。
ただ、その問題を正面から受け止め、制度を徹底的に見直そうとして取り組んだのが「人生100年時代構想」です。
また、「人生100年」と同時に起こっている重要な時代の変化は、圧倒的なテクノロジーの進化です。「AIによって仕事が奪われる」という議論もあるようですが、むしろ私は、人口が減少する日本だからこそ、徹底的にテクノロジーを実装することで、経済を持続可能なものにできるはずだと考えています。
小泉: 人口減少を解決する手段として、テクノロジーを実装するということですね。一方で、「人生100年時代」になると、20年増えるので、その分をどうするのかという議論があります。それに対しては、テクノロジーの進化はどう関係してくるのでしょう。
小林: 私たちがこれから向き合っていかなければならない最も大きな問題は、「人口減少」だと考えています。
なぜいま、生まれる子供の数が減るような状況になっているのでしょう。この理由は、「何とも言えない将来不安」だと思うのです。子供を持ち、育ててていくことがこれからの時代でもできるだろうか、というような不安です。
私は、この将来不安を払拭することで、人口減少を解決できると考えています。
社会保障の面から見た将来不安については、“騎馬戦型”から“肩車型”になるという議論があります。要するに、社会を支える人の数が減っていくということです。
もし、15歳~64歳(生産年齢)を社会の支え手として考えると、2045年には、「支える側」と「支えられる側」のバランスが1体1となります。つまり、“肩車型”になってしまうのです。
しかし、「人生100年時代」になり、高齢でも元気な人が増えるとします。それにより、18歳から74歳が支え手になるとすると、いまと同じくらいのバランスになり、“騎馬戦型”が維持されます。
ただ、そのような社会においては、これまでのように65歳一律で引退ということではなく、高齢者でも意欲があれば、働けるチャンスがあることが前提となります。その際に、ロボットやAIなどのテクノロジーを活用することで、シニアでも働ける環境を提供できるのではないかと考えています。
【関連リンク】
・「人生100年時代構想」(首相官邸ホームページ)
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。