「平成30年7月豪雨」で浮き彫りになった「標準化」の必要性
小林: ご存知の通り、7月には西日本を中心とした豪雨(平成30年7月豪雨) で、私の地元である広島県福山市も大きな被害を受けました。
災害があった時にまず調べたいことは、道路情報です。道路情報を見るために国のサイトに行くと、国道と高速道路の情報を見ることができます。県のサイトに行くと県道の情報がわかり、市のサイトに行くと市の道路の文字情報だけが見られます。「〇〇トンネルが通行止めです」というように。
これらはすべて一括して、一つの共通化されたマップに落としておけばいい話です。標準化がなされていないのです。しかも今回、自治体のサイトにアクセスが集中して、システムがダウンするということが起きました。これもやはり、個別にシステムを組んでいることの弊害なのです。
小泉: 結局は自治体ではなく、民間がつくったマップの道路情報が活躍したという話があります。
小林: そうなのです。結局、いちばん使えたのは、トヨタの「通れた道マップ」やホンダの「インターナビ通行実績情報マップ」でした。
小泉: コネクテッドカーの車両走行データからつくったマップですね。ただ、民間のサービスで済むなら、それでもいいと思います。
小林: そうですね。ですから、民間も使えるように、自治体がオープンデータを提供すればいいと思うのです。
小泉: 海外に面白い事例があります。ロンドン市の地下鉄で遅延があまりにもひどいので、データを公開し、アプリケーションはどこがつくってもいいとコンテストを実施したところ、ロンドン市は何もしなくても優秀なアプリがたくさんできたのです。
小林: 面白いですね。それがまさにインターネット社会のいいところです。オープン化することで、みんなが参加できるということですよね。
デジタルの時代になると、情報の格差(デジタルデバイド)はむしろ少なくなっていくと考えています。そうすると、多くの人がフェアにビジネスにアプローチできるようになります。
その力を活かせるかどうかが、次の時代の重要なポイントなのだろうと思っています。ですから、政府としてもオープンデータは積極的に出していこうという議論を進めています。
(後編はこちら)
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。