CES2016において、Sands Expoという会場の1Fには様々な国からスタートアップが集結し、いろんなモノを展示していた。これまで見たモノの焼き直しから、見たこともないモノ、何回見ても新しいと感じるモノなど、様々だ。
これらのモノはIoTとして完成しているモノばかりではない。あるモノはセンシングをしてスマートフォンに表示するだけであったり、あるモノはヒトになんらかのインタラクションを返すだけのモノであったりする。
これらの断片をうまくクラウドでつなぐことが今後重要であり、そういった生態系ができあがるのがIoT的社会なのだと考える。なので、断片的だ、これはIoTではない、と切り捨てずにどんなサービスと組み合わせたら、良さそうかをイメージしながら読んでほしい。
というわけで、今回IoTNEWSが気になったモノを幾つかレポートする。
3Dホログラム KINO-MO
KINO-MOは、すでにアストンマーチンやGE、サムスン、インテル、といった企業がすでに利用している3Dホログラム技術を持つ企業だ。会場でも以下の動画のようなデモを実施しており、人だかりができていた。
企業のエントランスなどに使うとインパクトがありそうだ。
参考:KINO-MO
足で3D空間を操作する新体験 3DRUDDER
この円盤状のモノ、どう使うのかというと、この上に足を置き傾けると3D空間上で前に進んだり、横に曲がったりすることができる、新感覚ユーザインタフェースなのだ。
裏は、丸くなっていて、足を乗せると傾けることができる。この傾きを前傾にすると前へ、後や右、左に傾けるとそれぞれの方向に進み、円盤を右に回転させると右に視線が移動、右足前と左足かかとに重心をかけると下を向き、逆にすると上に向くというモノだ。
実際に体験してみたが、数分で慣れることができ、実際に3D空間上を歩くことができた。
CES AWARDを獲得している。
参考:3DRUDDER
透過型ディスプレイ MOBIXERA
この透過型ディスプレイは上の写真でもわかるように、向こうが透けている。実際にはガラスとガラスの間に薄膜を入れてこの表現をだしているということだ。
現在プロジェクタなどでガラスに動画を投影しているケースがあるが、この方式であればプロジェクタが不要となったり、そもそも部屋の美観を損ねないというメリットもありそうだ。
参考:MOBIXERA
誰と同じ時を過ごしたかを可視化する CONCEPTER SOUL
ヒトと会う時間は大切だ。特に仕事において会うべきヒトとどれくらいあっているかが可視化でき、それに基づいて行動すると生産性も伸びると言われている。このSOULというモノは、まさに自分が誰とどのくらいの時間をすごしているかについて可視化できるのだ。
単に可視化するだけでなく、「◯◯さんと会うのをチャレンジしてみよう!」というモードもあり、自分の行動を変えるのにも良いかもしれない。
タグのような部品をあらかじめ専用アプリに登録して、持っておくことで可視化が可能となるので、始めやすいこともメリットのうちの一つだろう。
企業利用であれば、企業の入館証のようなモノにつけておくと良いかもしれない。
ハンドルで安全運転を測定する SMARTwheel
これまでも、クルマの安全運転を促すモノはたくさんレポートしてきた。
JINS MEMEのように、メガネの鼻のところの電極で目の筋肉の動きを見るものや、OptexのドライブレコーダーやSmartDriveのようにクルマから安全状況を取得しようとするものなど様々だ。
今回紹介するのは、ハンドルにセンサーを入れるタイプだ。
このハンドル、ぐるりとまいた皮の部分にセンサーがあり、片手運転の状況やハンドルの回し方の挙動をみてドライブ状況を評価するというのだ。
運転状況は一定のアルゴリズムで評価され、スマートフォン上に表示される。
赤ちゃんの足で状況を把握する Owlet
Owletは赤ちゃんに靴のようなものを履かせることで、赤ちゃんの足からわかる情報をセンシングするというモノだ。写真左の円盤のようなモノからインターネットに情報をアップロードすることができる。
実際にはこの靴の裏側にセンサーがついていることがわかる。
このセンサーによって、心拍、酸素レベルがわかるというのだ。赤ちゃん向けのウェアラブルはいくつも展示があり、大抵は腕につけるタイプのものであったので、足に履かせるタイプが新しかった。
ドアにつける、あなたのバトラー(執事) Hi)
Hiは、あらかじめ登録しておいたシナリオに基づいて、ドアの開閉を行う。もちろん登路ユーザのみだ。
他にもカメラがついていて来訪者を録画したり、するようないわゆるスマートロックにありがちな機能は大抵ついてるのだが、デザインが美しいのと、外での利用を想定されているところなでもよい。
フランスのデザイン性に目が引かれた
参考:Hi)
スマートフォームのセキュリティ対策 CUJO
急速に広がりを見せるIoTのモノ(Things)の分野において、まだあまり語られることのない、「セキュリティ」。CUJOはこの分野において、モノとインターネットの間に立つことで、家ナカをガードするハブだ。
顔のような正面のライトは、笑った顔だと通信状態がよく、困った顔だと通信状態が悪いのだという。
専用のアプリでは、家ナカのどのモノに対して、どういうセキュリティ状態を保つのかが設定可能だ。
また、現状どういうトラフィックが発生しているのかも可視化できるということだ。仮になんらかのモノに対してセキュリティ上の問題が発生した場合は、自動的にブロックする。
参考:CUJO
モノづくりにはチャンスが溢れている
この他にも様々なモノが展示されており、世界中のスタートアップが同じ着想から新しいモノを生み出し、しのぎを削る様子もうかがえた。そんな中、「ユニーク」であることはとても難しくまずは生み出し、高めていくプロセスを通して、市場に広げていくことが重要だ。
今回紹介したモノも、着想として面白く、モノを作る人にとって参考になるモノばかりだと思うが、まだその分野で多くの消費者に受け入れられたわけではない。
まだまだモノづくりにはチャンスが溢れている。
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。