スペインのバルセロナで開かれた、MWC2017。そのスタートアップが集まる会場で、日本のIoT業界でも同じみのソラコムが展示をしていた。
ソラコムはMWCの開かれた会場で、同日ヨーロッパでのサービス開始を発表している。
最終日にソラコムの玉川氏にお話を聞いたところ、「サービス開始と同時に対応デバイスはいくつもあり、どんどん増やしている。SORACOMのソリューションはヨーロッパでも注目されており多数の商談を行った。」と手ごたえを感じているようだった。
グローバルSIMと呼ばれる、このSIMでは世界各国の通信会社との提携を行うことで世界100カ国以上でSORACOMのプラットフォームを利用することができるのだ。
IoTでは多国マーケットを狙ったビジネスが重要だが、インターネット通信を利用国のキャリヤやプロバイダーと契約しなくても簡単に始められる点が有用だ。しかも、こういったグローバルSIMのプロバイダーは世界には非常に多いが、日本国内と同じプラットフォームを使ったSIMやSIMを入れたデバイスの管理、クラウドとの連携などを国を変えても同じ仕組みで利用できるという点がよい。
展示されていたデバイスの紹介
ITSMOS ワインの状態を管理
ASNというギリシャの企業が提供している、「ITSMOS」というワインを管理する仕組みだ。これはIoTを活用してワインの状態を可視化するというもので、瓶づめの工程から、保管、輸送、さらには消費者の手元に届いた後もトレースできるという。
現状ではSORACOM Air(通信サービス)とSORACOM Beam(セキュアなデータ転送サービス)を使っているということだ。
TRAMIGO 車両の状態を管理
TRAMIGOはフリートマネージメントに使うデバイスだ。フリートマネージメントとは、車両を持つ企業が車両の維持コストを低減するために行う管理手法で、この場合はクルマの状態をトラッキングするデバイスとなる。
enerbrain ビルのエネルギー管理
enerbrainは、ビルのエネルギーマネージメントに使うサービスで、大型ショッピングモールや空港のエネルギー利用を低下させるのだ。
SORACOM Air、Beam、とSORACOM Canal(AWS上の顧客企業サーバとのセキュア接続サービス)、Funnel(AWS Kinesisとの簡単な接続)、Gate(キャリアを越えた通信の実現)、Harvest(簡易データベースサービス)と多くのサービスを利用しているということだ。
Omniflow
Omniflowは、ポルトガルのスタートアップで、エネルギー管理のソリューションを作っている。エネルギー管理といっても、前述したビル管理のようなものではなく、この傘を切ったような形のデバイスが街の街灯の先端についているとイメージしてほしい。
このデバイスは太陽光と風で電気を起こし、街を照らしたり、予備電源となったりすることができるのだ。
SORACOMはこのリアルタイムモニタリングの部分で利用されていて、SORACOM Airが使われているということだ。今後はSORACOM CanalやHarvestも利用が検討されているという。
大がかりなサプライチェーンや、都市のエネルギーを効率化したり、フリートマネージメントに利用したりと、IoTらしい利用シーンが想定された展示だった。今後ヨーロッパで鍛えられたサービスが、SORACOMを活用することで日本を含めた他の国でも展開されていくのが楽しみだ。
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。