IoTで創出するビジネスイノベーション ーSORACOM Discovery2017③

SORACOM Discovery2017の第三弾は、IoTで創出するビジネスイノベーションというテーマで行われたパネルディスカッションだ。

登壇者:
パナソニック株式会社 コネクティッドソリューションズ社 常務 江坂 忠晴氏
株式会社みずほフィナンシャルグループ 常務執行役員 デジタルイノベーション担当役員 山田 大介氏
株式会社ローソン 理事執行役員 マーケティング本部 本部長代行 兼 商品本部副本部長 野辺 一也氏
株式会社ソラコム 代表取締役社長 玉川 憲氏

司会:
アナウンサー 膳場 貴子氏

自己紹介とソラコムでの取り組み

パナソニック株式会社 コネクティッドソリューションズ社 常務 江坂 忠晴氏

SORACOM Discovery2017

コネクテッドソリューションズ社は元マイクロソフト会長の樋口氏が率いるカンパニーで、企業・官公庁のソリューションを手がけるシステムを手がけるB2Bカンパニーだ。

パナソニックとしては、2/3がB2Bの事業となっていて、サスティナブルな社会の実現を目指している。物流量の急増、安全、人手不足といった社会課題にIoTを使って向き合うことを価値としている。

センシグデバイスやロボティクスを活用したアクチュエーションの技術をもっているので、自由自在にプラットフォーム上で支えるべく、IoTプラットフォームを活用しようと考えている。

SORACOM Discovery2017

また、これまでもあった様々な通信ソリューション(特にISDN)をマイグレーションしていくことで、従来のISDNをIP化していくなど利用シーンを増やしていこうと考えている。

株式会社みずほフィナンシャルグループ 常務執行役員 デジタルイノベーション担当役員 山田 大介氏

SORACOM Discovery2017

これからは、農業など他の業界と提携して新しいビジネスモデルをつくる、金融においてもビジネスプラットフォームをつくることが必要だ。

FinTechに関する要素技術を研究しようとしているのではなく、社会に眠っているニーズを掘り起こし、ビジネスモデルを作ることが重要だ。

株式会社ローソン 理事執行役員 マーケティング本部 本部長代行 兼 商品本部副本部長 野辺 一也氏

SORACOM Discovery2017

アマゾンのような事業者とリアルなコンビニがどう対峙していくかが問題だ。これまでリアルの店舗にはPOSくらいしか顧客の状況を見ることができなかった。一方で、アマゾンのような企業は細かな情報をすべて取ることができた。

物流面では車両にセンサーを付けいる。お店にある運ぶべき荷物を空になっていくトラックで運んでくるということもできるというのだ。

配送のチェックもできる。初期段階では動態管理だが、今後発展系も考えている。

お店にカメラをつけて、ヒートマップをつくるということもやっている。必要な棚作りを作っていきたい。買う前の行動をデータ化することで、売り逃がしている顧客に対して何をすべきかがわかるのだ。

SORACOM Discovery2017

SORACOM Discovery2017

今後、13000店舗を活用して、商圏500mの見守り等のサービスを作っていきたい。

それ以外でも、動くものや機器はすべてIoTデバイスになるのだ。他にも、コーヒーマシンIoTということで、コーヒーマシンの稼働状況を把握したり、IoTを活用することで、味の細分化など様々な対策ができそうだと述べた。

IoTのチャンスとリスクとは?

SORACOM Discovery2017

みずほ 山田氏:
FIntechは脅威か、チャンスか、という問いに対しては「どちらでもない」と言っている。インフラの整備、機器の進化、ソフトの整備・進化ということが起きている。技術が銀行のビジネスモデルの先をいっている。ということは産業革命が起きているという状況なのだ。

つまり、馬車を作っている場合ではなく、車を作らないといけない。IoTによる変化は必然性をもってついていかないといけない変化だと言える。

パナソニック 江坂氏:
これまで単品物売りをやっていたが、コト売りに変わってきた。

予想外のところから自社のビジネスが起きてくる。多くの商品が存在する中、ネットワークに繋がっている商品はまだまだ少ない。そこで、ネットワークに繋ぐコトで新しいビジネスが生み出せると考えている。

いろんなエコシステムを作って、新しいプラットフォームビジネスを生み出せるのではないかと考え、チャンスだと思っている。いままで眠っていた価値を創造するチャンスではないかと考えている。

もともとものづくりをやってきたメンバーの考え方の転換を図るとともに、多様性をもっていろんな経験の人と混成チームをつくることが重要だと考えている。

ローソン 野辺氏:
IoTに関してはチャンスしかない。リスクとしては通信環境の安全性が課題だと考えている。

多様なものに対応する必要がある中で、必要なセキュリティレベルの通信環境をつくるかということが重要なのだ。

なぜ、SORACOMを採用したのか?

SORACOM Discovery2017

パナソニック 江坂氏:
発想の転換、かつ、低価格でフレキシブルであることがポイントだ。IoTを試してみたい。事業を作りたいというときに、とても魅力的だと感じた。

自社が新しいコトを始めるにあたって、SORACOMを使うコトが楽しみだ。今後ミッションクリティカルなIoTというのが出てくるだろう。自動運転などでは1秒の誤差も許されない。そういった場面でもエッジの正確な動作とクラウドでの動作ということが連携していくコトが重要なのだ。

高速電力線通信がある。コンセントを挿すだけの通信ができるのだが、こういったものとSORACOMとの連携を組み合わせることで、家の中の情報も活用できるようになるだろう。

みずほ 山田氏:
今後FinchやIoTが広がり、利便性が高まっていくなかで、銀行のAPIの公開(銀行のデータを社会につなぐ)ということが必須となると考えている。

ただ、これをやる際、認証の問題、セキュリティの問題が発生するのだ。ソラコムの技術はここがすぐれているのだと考えている。

利用者の利便性と社会コストを下げる技術だと期待している。

ローソン 野辺氏:
当社では、現在一つの事例しかないが、7000の事例がこの短期間で生まれ、サービスになっているということは素晴らしい。

ユーザ事業側がどうやってこのサービスを使うか、ということに着眼するとよいというあたりが興味深い。

ソラコム 玉川氏:
グローバルにビジネスをする中で、焦燥感を感じている。アマゾンはITからきて、最近ホールフーズを買収している。

ITやIoTの企業がリアルの企業を買収するということが起きている。

日本はものづくりをやる企業が主流となっているが、そういうなかで人材をどうするのかというあたりが気になる。

パナソニックの 江坂氏:
多様性をつくりだすために、デザインシンキングなども取り入れる必要がある。今後は、縦割りではなく、それぞれのコラボレーション、臨機応変さが組織に求められている。

そういう中で、樋口のような外部から来たファシリテーターが日本初のビジネスをどう生み出すかが重要なのだ。と述べた。

みずほ 山田氏:
銀行にいる人たちがどう考え方を変えるか?がポイントだ。これは、失敗しても良い環境とオープンイノベーションだ。あとは、グローバル化。

自分の中に閉じずに大きなことをやっていくことが大事だと述べた。足りない部分はベンチャー企業と組むコトが重要だ。

ビジネスアイデアを出し合う文化も大事だが、発表して終わっているケースが多い。そこで、出てきたアイデアを実際にやるためにビジネスモデルを考える時間を割くコトが重要なのだ。

ローソン 野辺氏:
新しい技術を採用する際、日本では現場力が高いのでオペレーション上の改善幅は米国と比べても少ない。

米国では人を教育するより、機械でやったほうが早い。一方で日本では十分できているので機会でやる必要がない。これが遅れが起きてしまう可能性があるのだ。

そうこうしているうちに、米国での適用事例ができていくことが問題になるだろう。

ソラコム 玉川氏:
社会課題にどう立ち向かうのか?という視点が面白い。ものづくりがサービス化していく。こうやる中で社会課題を解いていくことが重要だ。

IT, AI, クラウドは避けられないというのが印象的だった。やるしかないという視点が重要だと感じた。みずほ銀行のような大きな企業がビジネスイノベーションを起こそうとしているのが興味深かった。

現場の技術力が高いと、テクノロジーははいていかない、ここはリアルなノウハウが必要になるのだろうと感じた。

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