日本電信電話株式会社(NTT)、トヨタ自動車株式会社(トヨタ)、Preferred Networks社(PFN)は、「ぶつからないクルマ」をコンセプトとした実動デモンストレーションを具現化した。
NTTは、将来のIoTインフラの提供に向け、ターゲットとしている自動車・交通分野でエッジコンピューティング技術を活用した研究開発を推進しており、NTTで進めているICTを通じてパートナーとコラボレーションすることで新たな価値を提供する「新たなステージ」の一環として取り組んでいる。
コンセプト展示の背景
NTTでは、ネットワークのエッジに計算機能を持つサーバを分散して配置し、ユーザやスマートフォン、通信機能を持つ自動車等に近い位置で様々な処理を高速に行うとともに、複数の無線アクセス方式を組み合わせて確実にデータをやり取りする、高い信頼性と低遅延性を持つ IoTサービスの基盤技術の確立を目指している。
自動車分野では、より安全な走行を提供するため、車両が持つセンサの情報に基づいて自律的に判断、注意喚起等をする運転支援に加え、車々間や路側設備、歩行者の持つ端末などとの連携による周辺の状況の共有と活用が必要となってきている。そこで、トヨタ、PFN、NTTの持つコンセプトや技術を持ち寄り、実動デモを作成した。
コンセプトの概要
今回のデモンストレーションでは、トヨタの考える人工知能を使った将来の運転支援のコンセプトを、NTTのエッジコンピューティング技術と高信頼無線技術と、PFNのぶつからない事象を学習するディープラーニング技術とその分散処理技術、を用いて実現した。
自動車模型を使用し、各車が走行することで時々刻々変化する周囲環境に対して、衝突回避の動きを、エッジサーバで動作するPFN社の高度な人工知能により学た。複数の車の学習状態を共有することで、学習に必要な時間の短縮も実現。サーバと車との通信では複数の無線アクセス方式を使い高い信頼性が保たれており、送られた学習結果を用いてそれぞれの車が自律的にぶつかることなく走行することができるという。
今回の取り組み
将来的には、エッジサーバ上で、たとえば複数の車や路側設備から送られるデータから、
・今周辺で何が起きているかといった動的で精密な交通空間情報を作る
・交通渋滞等の分析/学習/予測をする、緊急時/災害時に車両の優先度付けを行う
など、より高度な処理を行うことで、リアルタイムに高度な運転支援をするために必要な情報を提供できるインフラ技術の確立を目指していく。
特徴
データ分析・学習・予測機能を、ユーザの近くに配備されたエッジコンピュータに搭載することで、即時に分析結果を渡すことが可能となり、リアルタイムに運転支援情報を提供可能。
学習に用いるデータを、複数の無線アクセス方式に分散・冗長して送信することで、無線アクセスの品質を確保し、高信頼・低遅延な通信を実現、新鮮なデータによる学習、学習結果の即時配信も可能。
利用シーン
・AI技術の適用による高度な運転支援が可能となる。
・運転支援システムに必要な自動車周辺の3次元地図をリアルタイムに更新し、自動車に提供することが可能となる。
・電波状況の悪い地域でも自動車へスムーズに情報配信が可能となる。
【関連リンク】
・日本電信電話株式会社(NTT)
・トヨタ自動車株式会社(TOYOTA)
・Preferred Networks
・NTT R&Dフォーラム2016
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1975年生まれ。株式会社アールジーン 取締役 / チーフコンサルタント。おサイフケータイの登場より数々のおサイフケータイのサービスの立ち上げに携わる。2005年に株式会社アールジーンを創業後は、AIを活用した医療関連サービス、BtoBtoC向け人工知能エンジン事業、事業会社のDXに関する事業立ち上げ支援やアドバイス、既存事業の業務プロセスを可視化、DXを支援するコンサルテーションを行っている。