日本IBMは、本田技術研究所(ホンダ)がF1向けハイブリッド・エンジンの状況を分析するための、 F1マシンのレーシング・データ解析システムの基盤としてIBMの「 IoT for Automotive(アイ・オー・ティー・フォー・オートモーティブ)」を採用したことを発表した。
F1レースでは、走行中の故障予知や残燃料予測をいかに的確に行うかが、大きな課題となっている。そのため、各サーキットと、国内の開発本拠地である栃木県さくら市のHRD Sakura、パワー・ユニットの供給先であるマクラーレンの英国拠点を結んで、パワー・ユニットの状況をモニタリングし、故障予知や残燃料予測、さらにはレース戦略立案のカギを握る情報の共有を図る必要があったという。
また、最新のF1レギュレーションでは、複雑なパワーユニットシステムになったことに加え、現場のスタッフ数にも厳しい制限が課されていることから、少数の現場スタッフを国内の開発拠点から手厚くサポートする必要があった。そこで、ホンダでは、サーキットを走行するF1マシンに搭載されたパワー・ユニットの状況をリアルタイムに分析する解析システムを導入。
この、ホンダが導入したレーシング・データ解析ソリューションは、パワー・ユニットの分析による故障予知および残燃料予測に加えて、走行後にエンジンやモーターの回転数の頻度分布や各車のドライバーによる差異をレポート。レーシング・データ解析システムのシステム基盤として、F1マシンに搭載された各種センサーから収集したデータを分析し、走行状況をリアルタイムで把握するとともに、パワー・ユニットの異常を検知する。
このレーシング・データ解析ソリューションの基盤には、IBMの「IoT for Automotive」が採用されており、IBM® WebSphere Application Server、IBM InfoSphere Streams、IBM Cognos Business Intelligenceなどの機能が含まれている。
ホンダは、F1マシンのレーシング・データ解析システムを導入することで、 パワー・ユニットの戦略的なセッティングに取り組むことができ、年間約20レースにおいて、トラック・サイドに配置されるサーキット・エンジニアの負荷軽減およびコストを削減でき、その結果、開発本拠地におけるパワー・ユニット開発へのリソースシフトが実現したという。
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1975年生まれ。株式会社アールジーン 取締役 / チーフコンサルタント。おサイフケータイの登場より数々のおサイフケータイのサービスの立ち上げに携わる。2005年に株式会社アールジーンを創業後は、AIを活用した医療関連サービス、BtoBtoC向け人工知能エンジン事業、事業会社のDXに関する事業立ち上げ支援やアドバイス、既存事業の業務プロセスを可視化、DXを支援するコンサルテーションを行っている。