New Relic株式会社は、同社が提供するオブザーバビリティ(可観測性)プラットフォーム「New Relic」を、トヨタ自動車株式会社のカーシェアサービス「TOYOTA SHARE」に導入したことを発表した。
「TOYOTA SHARE」は、クルマの予約から利用、精算までをスマートフォンアプリで完結できるカーシェアサービスだ。
顧客のスマートフォンをクルマのキーとして利用するための「デジタルキー技術」として、アプリからドアの開錠・施錠とエンジンの始動を制御するための車載デバイス「スマートキーボックス(SKB)」が重要な役割を果たしている。
「TOYOTA SHARE」のサービスを支えるシステムは、スマートフォン用「TOYOTA SHAREアプリ」、モビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)としてクラウド上に整備された「Webアプリケーション」、車載IoTデバイス「スマートキーボックス(SKB)」から構成されている。
スマートフォンアプリとWebアプリケーションはインターネットを通じており、スマートフォンアプリとSKB間はBluetoothでそれぞれ通信を行っている。

「TOYOTA SHARE」固有の課題は、「スマートフォンの先にあるSKB」のログ収集とリアルタイムでの可視化であった。
そこで今回トヨタは、「TOYOTA SHARE」アプリに組み込む「New Relic」エージェントのSDK機能を利用し、SKBの仕様に合わせた軽微な改修を加えることで、アプリとSKB間の通信・操作ログなどの取得を可能にした。
また、山間部などでインターネット通信が滞ったとしても、通信が回復した時点で収集されたログが「New Relic」に送られて、リアルタイムで可視化できることも実証されている。
今回、「New Relic」を導入してログ収集とリアルタイムの可視化を行うことで、カーディーラからのSKBに関する問い合わせへの対応時間を、月あたりおよそ60%削減し、「TOYOTA SHARE」アプリに対する顧客からの問い合わせ回答時間も、25%程度削減する成果をあげているとのことだ。
トヨタ自動車株式会社のCVカンパニー MaaS事業部 MSPF企画・開発室 システム開発グループ長である水野敦氏は、「New Relicの導入により、エッジ環境で何らかの不調が発生したとき、リアルタイムでその状況を把握できる仕組みが整えられました。」と述べている。
また、New Relicの代表取締役社長である小西真一朗氏は、「今後は、TOYOTA SHAREのサービス全体を俯瞰的に見つつ、アプリの稼働状況やパフォーマンスの把握やプロアクティブなサービス運用に、New Relicのエンドツーエンドのオブザーバビリティをお役立ていただけるものと確信しています。」と述べている。
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