現場が使えるプラットフォームの条件とは
天野: 弊社(FAプロダクツ)の強みは、森松のような現場をよく知っている社員が多く、いわゆる“現場寄り”であることです。一方で、(MODEの)上野さん、(KDLの)村岡さんは、上位のレイヤーに強い。そのように強みの異なるメンバーが連携しているところがミソになります。
小泉: 私が最初に天野さんとお会いしたのは、(とあるイベントで)予知保全のプレゼンを聴いた時でした。モーターに6軸の振動センサーを付けて、高周波のデータを取るというような話だったと記憶しています。
そうした機能を実際にお客さんに使ってもらってきた歴史があるので、今回のようなサービスの立ち上げが実現したわけですよね。データを取ることはできても、活用できないケースを多く見かけます。
天野: おっしゃるとおりです。「データを取れる」と言う人はたくさんいらっしゃいますが、その中に本当の自動機械を見たことがあって言っている人はどれくらいいるでしょうか。工場というのは、千差万別です(それ自体は、良し悪しの議論はあります)。トヨタはトヨタ、日産は日産、ホンダはホンダというように、独自のクルマづくりをしています。
その工場に合わせた方法やノウハウを知っていないと、工場の方々は相手にしてくれません。たとえば、お客様から「LMガイドが…」といった言葉が出てきても、イメージができないと何のことを言っているのかわからないのです。
僕らは日本中の工場を見てきましたから、そこがわかります。
小泉: 工場のIoTにおいては、大規模のお客さんと小規模のお客さんに分かれると思うのですが、大企業がつくったパッケージを中小企業に販売しようとして、話が合わなくなるということがよくあります。
中小企業向けにつくったものは、中小企業には受け入れられますが、逆にこれを大企業向けに売ろうとしても、うまくいきません。レイヤーが合っていないということに、多くの人が気づかないのです。
天野: 信号のデータだけでいい、機械が動いているか、止まっているかだけがわかればいいという企業さんも当然いらっしゃいます。そのような企業のためにも、「FA Cloud」のようなしくみがあっていいと思っています。
森松: 「FA Cloud」の特徴の一つに、ローコストが挙げられます。というのは、日本の企業でIoT化が進まない理由には、やはり料金の問題があります。まず、月々払いというのは、好まれません。最近のクラウドサービスはクレジット決済が多いのですが、製造業の現場で使っていただく場合には、クレジットというわけにはいきませんよね。
そうすると、1年間あるいは半年でまとまった金額を支払うことになりますが、そこで年間500万円ですと言われてしまったら、「やっぱりいいです。オンプレでやります」となってしまいます。ところが、「オンプレだと2,000万円かかります」ということになる。そうした現状に対しては、ローコストなクラウドサービスが重要になります。
上野: 私がこのプロジェクトに参加してから約1年が経つのですが、工場へ行ってお客さんのお話を聞くと、みなさん同じことをおっしゃっていることに気づきます。
みなさんが考えている「やりたいこと」というのが、すべて同じなのです。ところが問題は、そのために必要な個々のシステム(クラウド、組み込み製品など…)を個別に発注しているということです。構成を見せていただくと、すべて「FA Cloud」でまかなえるものです。
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。