【後編】「製造業特化型」×「高速クラウド」のIoT基盤「FA Cloud」が始動、その全容と3社共同開発の狙いとは —FAプロダクツ、MODE、神戸デジタル・ラボ

PoCはできても、実ビジネスで使えないプラットフォームの罠

小泉: 少しこまかい話ですが、FAプロダクツさんもMODEさんも、いわゆるセンサーレベルでのデータ収集をされています。工場で使われるセンサーは膨大です。その中で、たとえば「この振動センサーは東京第二工場のAラインのBロボットアームについている」という情報は、どのように管理するのでしょう。

上野: 鋭い質問ですね。世の中のIoTプラットフォームでは、「ここはお客さまが自分で設計してください」となってしまうことも多いのですが、弊社ではデータ扱い方まで含めたセンサーデータプラットフォームです。ゲートウェイ側で、データの管理情報も含めて整理した上でデータをクラウドに上げるという考え方をしています。

小泉: そうですよね。ゲートウェイ側でデータをそろえておかないと、(クラウドに)渡せないですよね。また、グルーピングをきちんとしておかないと、必要のないデータも混じってきて、さきほどの「ガントチャート」もつくれないことになります(前編を参照)。

上野: そうなのです。(FA Cloudでは)エッジ側で属性分けをしてからクラウドにデータを渡すしくみなので、どこに何のセンサーがあるのかがわかるきれいな状態で、リアルタイムモニタリングができます。

小泉: 属性分けをするのは、PLC単位ですか。センサー単位ですか。

上野: センサー単位になります。そこからPLCを介して、個々のセンサーの状態が見えるようになっています。

小泉: このような議論は、センサー10個程度でPoCをやってみる、というような場合には考慮しないことも多いですが、本格展開になった時には重要です。

村岡: そうですね。システムのスケーラビリティ(業務の拡張性など)を持たせることがシステムの肝です。こういうシステムを開発するときには、設計のノウハウがないと、ビジネスで使えるものになりません。PoCではよくても、実際のビジネスで使えるものとしてシステムが成長していけないことになります。

【前編】「現場特化型」が日本の製造業IoTを加速、FAプロダクツ、MODE、神戸デジタル・ラボの高速クラウドサービス「FA Cloud」
左から株式会社FAプロダクツ Smart Factory事業部 技術部 マネージャー 森松寿仁氏、MODE, Inc. 日本代表 ジャパンカントリーマネージャー 上野聡志氏、株式会社神戸デジタル・ラボ 取締役 新事業創造係長IoT班長 村岡正和氏

小泉: たとえば、1個のセンサーで、「温度」「湿度」「加速度」のデータが取れるとします。それぞれ認識はできても、3つも項目があると処理が複雑になります。こういう場合はどうするのですか。

上野: 階層管理しています。「ゲートウェイ」/「センサー」/「センサーで取れる項目」という層があるとすると、最後の「センサーで取れる項目」(温度、湿度、加速度など)が最小単位になります。

その項目がどのセンサーやゲートウェイに紐づき、どのPLCを経由しているのかということが、階層管理できます。あとは、エッジ(PLC)からデータを引っ張ってくればいいのです。

なお、製造現場で使われるPLCやコントローラ、制御機器のメーカーはさまざまですが、ゲートウェイ一つで、300種類以上のプロトコルに対応しているため、多くの機器をプログラムレスで接続できるようになっています。

次ページ:“理想の工場”の姿が描けなければ、データは活きてこない

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