産業用ロボット (以下 ロボット) を導入している工場では、製造工程の変更を行う際、ロボットの配置換えに加え、ロボットを制御する通信回線の敷設変更作業が伴う。また、配置換え後の製造ラインにてロボットを再稼働させるためには、事前にロボットの動作をきめ細かく教示する調整作業が発生し、工場の稼働を長時間停止する原因となっている。
そこで、株式会社国際電気通信基礎技術研究所(以下 ATR)、KDDI株式会社、株式会社デンソー、九州工業大学は、株式会社KDDI総合研究所および株式会社デンソー九州の協力のもと、ファクトリーオートメーションで次世代移動通信システム「5G」を活用した産業用ロボット制御の実証を開始した。1月21日から九州工業大学で実証を始め、2月18日からデンソー九州の工場内で実施する。
5Gを活用することで、工場内の有線回線をモバイル通信で代替可能となり、ロボットの配置換えに伴う回線敷設作業を省略することができる。さらに、配置変え後のロボットの動作調整作業を省力化するための高精度な三次元計測センサーを導入した場合でも、5G経由で大量のセンサー情報の伝送が可能となり、新たな回線敷設作業が不要になる。
これにより、工場内のレイアウトの柔軟性を向上させ、製造工程の変更に伴う工場の稼動停止時間を短縮することができる。
同実証試験では、28GHz帯の5G基地局を用いた試験エリアを構築し、高精度の三次元計測センサーとロボットに5G対応端末を接続した上で、計測データや制御データを5Gで送受信することで産業用ロボットの高精度な制御を行う。
なお、同実証試験は、総務省の技術試験事務における5G総合実証試験として実施している。
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