昨今、製造業では生産現場の最適化を実現するため、IoTやAIを活用したスマート工場化が進む一方で、どのように生産性とコストを犠牲にすることなく品質を向上させるかが課題となっている。
株式会社SUBARUにおいても、自動車の生産において、品質・生産性・効率性を同時に向上させことを目的とし、中期経営ビジョン「STEP」で掲げた品質向上のためのIT投資による生産工場のシステム化に加え、IoTやAIなどの最新技術を活用した生産工場のさらなるレベルアップを推進している。
この取り組みの一環として、群馬製作所大泉工場において、加工部品の品質保証のレベルアップを目指し、2018年7月より富士通株式会社と共同で、研削設備の加工品質を判断し、加工プロセスを監視することで品質を保証するAIモデルの開発に取り組んできた。
そして今般、富士通とSUBARUは、エンジン部品加工工程における研削加工の品質保証の向上に向け、加工品質を判断するAIモデルを活用した実証実験を、2020年1月末までSUBARU群馬製作所大泉工場の量産ラインで開始する。
今回活用するAIモデルは、株式会社富士通アドバンストエンジニアリングが持つ生産現場でのIoT活用技術、株式会社富士通研究所が持つAIモデル生成技術とSUBARUが持つエンジン部品の加工ノウハウを組み合わせ、富士通とSUBARUが共同開発したものである。
エンジンのカムシャフト(※)研削工程において研削設備に接続したセンサーから収集した主軸動力値や振動といったデータと、カムシャフトの粗さや表面形状などの品質データをAIに機械学習させ、リアルタイムに加工中の全カムシャフトの品質の良否判定を行うことができるAIモデルを構築した。
今回の実証実験では、AIモデルが推測した加工時の品質状態と実測値を照合し、品質保証基準の範囲内に収まっているか測ることで、加工後の全カムシャフトの品質保証が可能となるかを検証する。また、従来定期交換していた研削設備の消耗部品を、品質基準を順守しながら極限まで活用することの可能性もあわせて検証していく。
これにより、従来の抜き取り検査を主体とした品質保証に加え、AIモデルを利用した全カムシャフトの品質予測により品質保証レベルの向上が可能となるかを検証する。
また、研削砥石の表面を研いで切れ味を取り戻すドレッシングと呼ばれる作業を必要とされた時のみ実施することで、従来と比べてドレッシング間隔を延伸させることの可能性もあわせて検証する。
※ エンジン部品の一種で、バルブ開閉の役割を担う。
プレスリリース提供:富士通
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