カメラは単純に写真や動画を撮るといったことだけでなく、人の「目」の役割をするといったことから、カメラを活用して物流現場や防犯といった様々な用途でのサービスが登場している。
もちろん用途が違えば同じカメラでも必要な機能が変わってくる。
そこで今回は、各企業が利用シーンに合わせて開発しているカメラや、そのサービスについて紹介したい。
倉庫内をより賢くするために
まずはIntelが新たに発表したIntel RealSense LiDAR Camera L515というカメラだ。
このカメラはテニスボールほどの大きさで世界最小かつ、電力効率の高い高解像度で、小売、物流、ロボットなどでのユースケースに有効だという。
また、このライダーカメラは3Dで物体を認識するため、様々な機械やデバイスに組み込むことで体積の測定などができ、特にロジスティクスの分野で活躍すると考えられる。
仕様はレーザー光と受信機の組み合わせを使用するリモートセンシングテクノロジーで、光と距離の検出を行なっている。
電力効率の高い高解像度は、高度で小型化された微笑電気機械システムミラーを使用することで実現している。
そしてこのカメラには、加速度計、ジャイロスコープ、およびFHD RGBビデオカメラも搭載されており、Intel RealSenseデバイスのポートフォリオ全体と同じオープンソースのIntel RealSense SDK 2.0を使用できるとのことで、活用の幅が広いことが伺える。
ライトとカメラで一石二鳥
次に紹介するのは蛍光灯と一体になっている「SecuLight(セキュライト)」という防犯用のカメラだ。

4Gデータ通信機能を備えており、何か問題が発生した際は遠隔地から録画映像を確認することが可能で、すぐに駆けつけたり、応援を要請することができる。
専用のウェブアプリケーションのサービスも行なっており、管理画面で稼働状況を確認することができるため、故障や万が一破壊された際などには管理者に通知される。
蛍光灯と一体型になっている利点は、防犯カメラを導入するための設置工事や配線工事が不要で、蛍光灯を設置するだけで取り付けが完了し、初期費用も抑えて導入することができる点だ。
このサービスは2020年春より法人向けに開始予定だという。
監視する側される側の負荷軽減
これは、生産現場の作業者の動きをカメラで撮り、AIで分析するというサービスだ。
製造現場では産業用のロボットが導入されだしているが、それでもまだ人手の作業が大きな割合を占めており、生産性向上するには人手作業の効率化が求められている。
現在では現場の監督者が作業員を観測し、作業時間の計測や作業ミスの集計などを行なっているが、人での監視では常時観測は困難であり、監督者の負荷が大きい。
また、作業者にセンサーをつけて観測する方法もあるが、作業者への負荷が大きく、品質管理の観点から機器類を付けて作業できない製造工程もある。
そこで開発されたのが独自のAI技術「Maisart(マイサート)」を用いて、カメラ映像から人の骨格情報を抽出・分析し、特定の動作を自動検出する作業分析ソリューション「骨紋(こつもん)」だ。
三菱電機は以前からカメラで撮った映像から、異常を検知する「映紋」の開発を行なっていたが、さらに作業時間や作業ミスといった細かな動作を自動検出するという技術を、慶應義塾大学 理工学部電子工学科 青木義満教授および研究室の協力を得て開発された。
このサービスは三菱電機の生産現場への試験導入を通じて実用化開発を進め、製造工程監視装置や作業分析ソフトウエアとして、2020年度以降順次市場投入する予定だという。
エッジとクラウドをうまく活用
最後に紹介するのは、カメラ自体にAIを搭載している「mono AI-LPR」というカメラだ。
このカメラはカメラ側で画像解析をすることができるAIカメラで、車のナンバープレートを認識するために開発された。
通信機能LTE Cat.M1も搭載しており、併せて提供されるクラウドサービス「mono AIクラウド」を利用すると、監視・リモート設定・ソフトウェア更新・AIモデル管理などを、APIから各種システムと連携することで可能となる。
設置は電源を入れるだけという簡易性を持ち、防塵・防水性能はIP65レベルに対応しているため、様々な利用シーンで活用することができる。
このように、様々な利用シーンに合わせて必要な機能を持ったカメラが続々と登場している。
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