食品製造業では、生産工程における外観検査を熟練した作業者が目視で行うのが一般的だが、昨今、作業者の高齢化と人材不足による技術継承が課題となっている。
そうした中、NECソリューションイノベータ株式会社と株式会社極洋および極洋食品株式会社は、2017年より極洋食品の冷凍食品工場で、エビフリッター製造ラインの生産状況をAIを活用して見える化する実証を行ってきた。
しかし、エビフリッターの原材料であるエビのように、大きさや形に個体差のある原材料を扱う場合、AIによる不良品判定の精度向上のためには、大量の教師データの作成と継続的な精度向上が必要だ。そのため、大量の学習データの準備と、1件1件手作業でラベル付けを行うアノテーション作業が現場担当者の大きな負担となっていた。
そこで、NECソリューションイノベータは、作業現場で撮影した動画や静止画をリアルタイムにAIで解析し、品質や進捗状況を見える化する「NEC AI・画像活用見える化サービス」の新機能「AI判定画像出力機能」を開発し、2022年8月30日より提供開始する。
「AI判定画像出力機能」は、メニュー画面のボタンをクリックすると、AI判定済みの画像と判定結果のデータから、自動で良品・不良品ラベルを付与したアノテーション済みのデータを生成し、教師データとしてそのまま利用することができる機能だ。また、教師データは、物体検出のアノテーションファイルフォーマット「Pascal VOC形式」のxmlファイルで出力するため、判定結果を必要に応じて補正することも可能。
これにより、これまで手作業で行う必要があった、学習用画像の撮影・収集と、良品・不良品をラベル付けするアノテーション作業を省力化する。
なお、極洋および極洋食品のエビフリッターの製造ラインに「AI判定画像出力機能」を先行納入して検証した結果、社員が実施していた6,000尾のエビが写る200枚の画像にかけるアノテーション作業を、従来の60時間から、3分の1の20時間へ削減する効果が得られたのだという。
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