都市部では、慢性的な医師不足が課題となっている一方、救急患者の適切な受け入れ体制の強化や、医療品質を維持・向上、2024年に始まる医師の時間外労働時間上限規制などにも対応する必要がある。
そうした中、トランスコスモス株式会社、学校法人聖マリアンナ医科大学(以下、聖マリアンナ医大)、NTTコミュニケーションズ株式会社(以下 NTT Com)、川崎市は、聖マリアンナ医科大学病院(以下、聖マリアンナ医大病院)が、川崎市内に新たに開院する入院棟および川崎市立多摩病院、川崎市消防局の救急車両などを活用して、ローカル5Gなどの先進技術を活用した医療ユースケース創出に向けた実証実験を、2022年12月7日より開始する。
今回発表された実証実験では、「キャリア5Gを活用した救急搬送時の映像伝送による地域医療機関の連携強化」「ローカル5Gを活用した医療支援の遠隔化」「自律走行ロボットを活用した患者移動の負荷軽減」といった、3つのテーマが設定されている。
1つ目のテーマでは、救急搬送時の患者や救急車両内の映像を、高精細カメラやキャリア5Gなどを活用して、3次救急(聖マリアンナ医大病院)や2次救急(市立多摩病院)を担う地域医療機関に伝送する。
これにより、地域医療機関が連携した適切な搬送先の決定や、受け入れ準備の高度化・効率化に対する効果を実験する。
2つ目のテーマでは、内視鏡室や手術室の映像を、高精細カメラ、360度カメラ、内視鏡カメラ、ローカル5Gなどを活用して上級医の待機するオペレーションルームに伝送。遠隔からの指示出しを可能とすることで、医師の稼働効率や医療品質に与える効果を検証する。
3つ目のテーマでは、患者が移動する際、自律走行ロボット、ローカル5G、高精細カメラ、360度カメラなどを活用し、病室と検査室・リハビリ室間を安全に移動させることで、医師や看護師の稼働に与える効果を実験する。
今後は今回の実験で利用したシステムを、聖マリアンナ医大病院に導入予定だ。また、将来的には、実験で創出したユースケースの他地域への展開を目指す。
さらに、実験結果について、政府への報告や学会での発表を行うことで、全国の医療機関が抱える医師不足の解消や負荷軽減に貢献するとしている。
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