Apple Watchは、2021年1月に日本で医療機器として承認されたプログラムを用いることで、心電図や不規則な心拍の測定を行うことができる。これにより、心疾患患者に発生しやすい傾向がある不整脈の一種「心房細動」の兆候を検知することが可能だ。心房細動を示唆する結果が出た場合は、医療機関を受診することで早期の治療につなげられる可能性がある。しかしながら、さまざまな理由で、心房細動の早期発見・早期治療につながらない事例も存在する。
KDDI株式会社と株式会社KDDI総合研究所は、2021年度に心房細動の早期発見・早期治療を目指し、KDDIが開発する健康アプリ「ポケットヘルスケア」とApple Watchを組み合わせたフェーズ1の実証研究を実施した。このフェーズ1の成果を踏まえ、新たに開発を加えたサービスの実証研究(以下、フェーズ2)を新たに実施する。併せて、参加者(約1,000名)の募集を開始した。
2021年12月から2022年2月まで実施されたフェーズ1では、ポケットヘルスケアでApple Watchの心電図や心拍の計測結果を取得し、心房細動が検出された場合には、その結果を医者がアプリ上で確認できるようにした。また、心房細動が検出された参加者が、アプリから提携先の医療機関のオンライン診療を申し込めるように導線を構築した。
412名の参加者がポケットヘルスケアのインストールと定期的な心電図の測定を行った結果、20名から心房細動が検出され、うち5名がオンライン診療を受診した。
2022年11月から2023年2月までの4カ月間で実施予定のフェーズ2では、フェーズ1の成果を踏まえて以下の機能をポケットヘルスケアに追加し、1,000名規模の参加者に利用してもらう予定だという。
- 心電図計測を促す定期アラーム機能(アラーム時間は参加者が自ら設定)
- 心電図計測を促す追加アラーム機能(参加者の活動量などを踏まえアプリから通知)
- 心電図計測を含む日々の健康活動に基づいてポイントを提供するインセンティブ機能
また、提携先医療機関などからの協力を得て、心房細動に関する情報提供や、2021年度に引き続きオンライン診療の提供を行う。フェーズ1よりも多くの人に長い期間利用してもらうことで、心電図測定の適切なタイミングの見極めや、心房細動検出時の早期受診を促す手法の研究に取り組む。
同実証の成果を踏まえて、心房細動の早期発見・早期治療につながるサービスを開発し、心房細動の早期発見・早期治療に貢献する。
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