IoTNEWS生活環境創造室では、「未来のあたりまえ」を生み出すべく、様々なB2C企業とのワークショップを実施している。
「第1回 夜のワークショップ」では、その番外編として、様々な企業の新規事業推進部門や、デジタル化推進部門など、20名の方と、電通の刺激的プランナー4名、IoTNEWS生活環境創造室4名を加えた、合計28名が夜な夜な集まり、全4回のセッションに取り組んでいく。
本レポートはその最終回、「Session4:創造の先を考える『意味開発』」編だ。
(グラフィックレコーディングは、アートディレクター 佐藤恵美子氏)
IoTNEWS生活環境創造室主催の「第1回 夜のワークショップ」も、あっという間に4回目を迎え、このメンバーでのセッションは今回で最終回。
9/24に実施したSession4は、ミミクリデザインのオリジナルメソッドを用い、意味開発をゴールとして取り組んだ。
考え方のパラダイムシフトとも言える「正解を探す」アプローチから「自ら意味を創り出す」取り組みは、やってみた人だけが納得を得るものだ。
頭が良い、もしくは情報を持っている、知っている人であれば、正解となるソリューションを提供することができる。
しかし、それでは新しい社会を構築することは難しい。なぜなら、それは部分的な課題解決にすぎないからだ。
IoTNEWS生活環境創造室では、もともと環境を変えると人は行動を変える、という発想を基に様々な生活環境創造並びに構築に関わってきているが、その考え方と同様に、「何かを提供することで、人が起こす新しい行動と欲求」を考えることが意味開発である。
ミミクリデザインのメソッドで面白いのは「批判を通じて“意味”を磨く」というものだ。
一般的なワークショップでは、批判を良しとしない、もしくは批判にフォーカスしたワークは非常に稀だ。
しかし実際に自分のアイデアや、やりたいことに批判をされると、自身の思考が再構築される。
ひたすら、批判と援護を繰り返すだけでも、アイデアや想いは非常に強いものになっていくように感じた。落としどころを探るのではなく、強度を上げることで、やりたいことへの確信を得るというワークになっていた。
このあたりもIoTNEWS生活環境創造室の取り組みとシンクロしている。
IoTNEWS生活環境創造室では、生活者を起点して考え、生活者の行動が「間違いなくポジティブに変化」する環境を創ることをテーマにしている。
売れるモノをつくることではなく、環境を創り、生活者の行動が変わる、ということを明らかにすることでアイデアや想いに確信が持てるのだ。
意味開発セッションに取り組んだことで出てきた目指したい社会は、Session3でまとめた創りたい社会から、さらに奥行きができた内容になっている。
特にBチーム、Cチームに共通する「人が中心」となる社会は、多くの企業が揺るがず、持ち続けて欲しいものだ。Aチーム、Dチームの考えと表裏となっている感じも面白い。
人間らしさの定義はとても難しいのだが、精神的な部分への言及がそれと考えられる。テクノロジーが普及し、情報環境が発達したことで人間らしさが薄れているという指摘もあった。モノや情報が溢れた結果、人は余裕が無くなってしまったのではないだろうか。
AチームやDチームの指摘はそこにあった。そしてB、Cは便利になると心が狭くなるという懸念を抱いていた。
今が進化のピークではなく、今はまさに過渡期である。
これからのテクノロジーは、これまでの先行的かつ試験的なテクノロジー普及によって顕在化した課題を解決するものになる。
これがIoTNEWS生活環境創造室の揺るがない考え方の一つでもある。そこを前提に、自ら意味を創り出す取り組みを継続し、未来のヒントや、創造支援をしていく。
最後に、夜のワークショップ4回のセッションを通じて「人のしたいことは、結果的に誰かへの貢献」になっていることが重要ということだ。
社会は人と人が関わって成り立っていることを考えると、自分だけが良ければ良いということでは社会システムにならない。
生活者のPainを解決するアイデアは、他の誰のメリットに繋がるのか、企業のメリットになるのか、この点を繋ぐだけでも、点が線となり、未来の可能性となるはずだ。
また、次回の夜のワークショップも企画中とのこと。
実施が決定した際は、当サイトでも開催概要の公開を予定している。
「第1回 夜のワークショップ」 -レポート一覧
Session1:どこよりもわかりやすいテクノロジーセミナー
Session2:生活者から未来を見出すための「兆し」探索
Session3:生活者の「兆し」から魅力的な未来を見出す
Session4:創造の先を考える「意味開発」(本記事)
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未来事業創研 Founder
立教大学理学部数学科にて確率論・統計学及びインターネットの研究に取り組み、1997年NTT移動通信網(現NTTドコモ)入社。非音声通信の普及を目的としたアプリケーション及び商品開発後、モバイルビジネスコンサルティングに従事。
2009年株式会社電通に中途入社。携帯電話業界の動向を探る独自調査を定期的に実施し、業界並びに生活者インサイト開発業務に従事。クライアントの戦略プランニング策定をはじめ、新ビジネス開発、コンサルティング業務等に携わる。著書に「スマホマーケティング」(日本経済新聞出版社)がある。