オタフクソース株式会社は、製品の味をつくる際、目標とする味のサンプルがある場合は、まずサンプルの理化学分析(製品や試作品の含有成分などを分析装置で測定した値)や官能評価を行い、その結果を1万5千以上ある製品や試作品のデータと照合して、近いものを探す。そして、それを基準に幾度も試作を繰り返しながら、目標の味に近づけていくのだという。
製品や試作品に関するデータへの知識の深さや量は開発経験により異なり、熟練の開発者ほど短時間で近い味を見つけ出し、目標の味を完成するまでの試作を少ない回数で行うことができる。
また、官能評価は人が行うことであり、味覚がベースとなるため個人差がある。試作や味の評価は属人化しており、熟練開発者の技能の伝承には長い年月を要する。
そうした中、オタフクソースと株式会社IHIは、ソースの新規開発において、既存の製品および試作品(液体調味料)から、目標とする味に近いものを抽出するシステムを共同開発した。
このシステムは、製品や試作品の理化学分析値、味や風味などの特徴を表すキーワード、そして光の波長ごとに吸収度を表した分光スペクトルのデータにより、味をデジタル化し、AIに学習させることで、目標の味に近いものを抽出する。
IHIにて分光スペクトル計測方法を構築し、オタフクソースの持つデータや製品開発における知見をもとに、製品や試作品の評価に適したAIアルゴリズムを開発してシステムとしてまとめた。
今後はこの取り組みをさらに発展させ、検査・計測技術にAI技術を融合していくとしている。
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