株式会社ハイボットとVinçotte社は、核廃棄物処理施設の作業環境において、ロボットを活用した点検作業に成功したことを発表した。
Vinçotte社は、ベルギーから認可を受けている検査・認証団体でKIWAグループの一員だ。
Vinçotte社は、NIRAS(放射性廃棄物・濃縮核分裂性物質管理を行うベルギー国家機関)の子会社であるBelgoprocess社から、同社の第二廃水処理施設にあるコンクリートバンカー内の貯蔵タンクの目視検査と肉厚測定を請け負うにあたり、電離放射線の存在と放射能汚染のリスク対策の必要性から、遠隔検査技術の活用を検討していた。
しかし、貯蔵タンクの大半はステンレススチール製であるため、マグネット式クローラロボットは使用できず、吸引式クローラロボットやUAV(ドローン)は汚染リスクが高いため不向きと判断された。加えて、タンク周辺の作業スペースが狭いため、足場を設置することも現実的ではなかったのだという。
そこでVinçotte社は、ロボティクス分野におけるパートナーであるハイボットが開発した多目的非破壊検査用の多関節ロボットアームと「Float Arm」を活用することを検討した。
「Float Arm」には放射能汚染対策が施され、適切なセンサ・ペイロードが装備された。そして、深いバンカーの最も狭いコーナーエリアに施設備え付けの天井クレーンを使って侵入できるよう、新たに開発された専用ケージも装備された。
こうした対策をすることにより、人や他の検査装置では近づくことができなかった環境においても点検が可能となった。
「Float Arm」を活用することによって、足場の設置や防護措置などの大がかりな準備が必要なくなり、高所作業に伴うリスクを軽減することができた。また、作業員が電離放射線や放射能を浴びるリスクを最小限に抑えることができた。
その結果、産業安全や労働安全、労働衛生に関するすべての基準を満たす検査を実現できたとしている。
また、「Float Arm」を使用した遠隔検査の測定値はすべてデジタル化され、座標システムと点群データに関連付けることができたのだという。
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