現在日本は、超高齢化の社会課題に直面しており、加齢に伴い発症率が増加する認知症患者数は、2025年には約700万人に達し、65歳以上の約5人に1人が認知症になるとされている。今後増加する認知症患者や患者家族への支援、早期発見のための体制整備など、認知症患者を受け入れる環境の構築が急務となっている。
その認知症課題の解決に向けて、西日本電信電話株式会社(以下、NTT西日本)とジョージ・アンド・ショーン株式会社は、ICTを活用し認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)(※)の検知エンジンを開発し、認知症患者数の増加を抑制する取り組みを続けてきた。
また、兵庫県加古川市と綜合警備保障株式会社(以下、ALSOK)は、これまで官民連携のICTを活用した「見守りサービス」等を通じて、都市の安全・安心を実現するスマートシティプロジェクトを推進してきた。
今回、加古川市、ALSOK、NTT西日本、ジョージ・アンド・ショーンの4者は、高齢者の認知症が原因による行方不明事案などを解決するために、ICTとAIを活用した新しい見守りサービスの検討を行うことを目的に「健康寿命延伸サービス」の実証実験を開始する。
同実証実験は、見守りサービスで得られるデータをヘルスケア等の他分野へ応用し、健康寿命の延伸および社会保障費削減に寄与するサービス開発のために実施されるもので、加古川市内の一般戸建て住宅もしくは一般集合住宅に住む65歳以上の高齢者を対象に、2019年8月~2021年3月まで行う予定だという。
同実証実験における各者の役割は以下の通り。
- 加古川市
- ALSOK
- NTT西日本
- ジョージ・アンド・ショーン
実証実験におけるフィールドの提供
IoT機器の提供や実証実験に必要な環境整備
AIを用いたMCI検知エンジンの提供(ジョージ・アンド・ショーンとの共同開発)と、健康寿命延伸サービスの有効性評価
AIを用いたMCI検知エンジンの提供(NTT西日本との共同開発)と、IoT機器の提供
なお、加古川市は「総合計画」、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づき、ICTを活用したまちづくりを進めており、同実証実験は、見守りサービスの導入等、安全・安心のまちづくりに寄与する事業のプロジェクトに加えて実施するものである。
※ Mild Cognitive Impairmentの略。健常な状態と認知症の中間にあたる。認知機能の低下が見られるものの日常生活に支障をきたさない範囲にとどまるため、周囲に異変を気づかれにくい。
【関連サイト】
加古川市、都市の安全・安心を実現するスマートシティプロジェクトを推進
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