2019年10月7日都内にて小田急電鉄による「MaaSアプリおよび実証実験発表会見」が行われた。
今回の発表では、「会いたいときに会いたい人に会いに行ける」というコンセプトのもと、「EMot」(エモット)というMaaSアプリの詳細と、「EMot」を活用した実証実験の概要について話がなされた。
行き方を変えると生き方が変わる
まず取締役社長 星野晃司氏より「小田急が提供する”新たなサービス”について」と題し、EMotに込めた想い、MaaS事業に乗り出した経緯についてなどが語られた。

小田急電鉄は、中期経営計画において、「次世代モビリティを活用したネットワークの構築」を掲げており、自動運転バスの実用化に向けた取り組みのほか、複数のモビリティや目的地での活動を、検索から予約・決済まで、一つのサービスのようにシームレスに利用者に提供するMaaSの実現に向けた取り組みを推進している。
星野氏は、「デジタルによる新たな顧客設定を活かし、新たな価値を提供したい。」と語る。
そこで今回発表されたのが、MaaSアプリ「EMot」だ。EMotは、日々の行動の利便性をより高め、新しい生活スタイルや、観光の楽しみ方を見つけることを目的としたアプリだ。
いつもの道の”行き方”を変えるだけで新たな発見がある。そして移動することで心や経験が豊かになり、”生き方”が変わる、という2つの「いきかた」をテーマにしているのだという。
「EMot」という名前は、EmotionとMobilityを掛け合わせた言葉で、モビリティにより生まれる感動に焦点を当てている。
また、行きたい時に行きたい場所に行けるという価値提供の実現のためには多くのパートナーとの連携が不可欠だと語り、そういった想いからEMotのロゴは小田急カラーを使用しておらず、小田急という名称をつけていないのだという。
「こういったMaaSサービスを実現したい地域があれば、小田急沿線であるか否かに関わらずEMotを利用していただきたい」とし、その際にEMotというアプリの使用感がその地域に合わなければ、EMotで使われている「MaaS Japan」というMaaSアプリへの提供を前提とした日本初のオープンな共通データ基盤を使い、独自でアプリを開発してもらいたいと語った。

小田急電鉄は今まで培ってきた交通事業者という基盤を活かし、MaaSという新たな事業に展開させているが、自社だけの繁栄を考えて事業に乗り出しているわけではないという。
星野氏は、「小田急電鉄はMaaSを普及させるとっかかりを作っているが、そこから様々な事業者にも参画してもらい、社会的価値を大きな枠組みで実現していきたい」と話した。
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