KDDI株式会社、応用地質株式会社、トヨタ自動車株式会社は、IoTおよびビッグデータ分析の最新技術を活用した、「国・自治体向け災害対策情報支援システム」についての検討を行い、2019年の商用化を視野に入れた実証実験を行うことに合意した。
同システムは、KDDIの人口動態データのほか、応用地質の各種災害モニタリングセンサーデータや、トヨタのコネクティッドカーから得られるプローブデータ、気象情報などの公的データを融合し、様々な防災情報の生成を目指すものだ。
これにより、自治体は通行可能な道路網の把握など、リアルタイムかつ網羅的に災害時や日常のインフラ監視体制を整えることができ、避難勧告や通行規制などの警戒避難対応における意思決定の精度とスピードが向上し、地域住民の安全な暮らしを守ることが期待されている。
なお、3社は2018年5月8日から福岡市で開催される「第16回アジア太平洋地域ITSフォーラム2018福岡」において、同システムのコンセプトデモおよび事業構想に関する展示と説明を実施する。
経緯
近年各地で多発する地震、台風、局地的大雨、土砂災害、雪害などの自然災害に対応するために、自治体では防災情報の収集・分析・伝達を行う体制を構築し、様々な意思決定プロセスを経て警戒避難対応 (道路の事前通行規制や発災後の通行規制、住民に対する避難勧告発令など) を実施している。
一方、自治体では高齢化による避難行動要支援者の増加、温暖化に伴う異常気象現象の増加や災害の大規模化・広域化・複合化への対応、地域の過疎・過密化やインフラ施設の老朽化に伴う対応など、これまで以上に地域防災体制の強化が求められている。
このような課題を解決するために、3社は各社が有するビッグデータを融合・分析し、防災情報を効率的に収集・分析する手法や災害時の最適な救援手段を推定する手法について検討を進めている。
期待される効果など
同システムにより、今後は自動車やスマートフォンを国や自治体が設置するセンサーを補完する動的IoTセンサーとして活用することが可能になる。
これら新たな動的IoTセンサーから得られる各種ビッグデータを融合・分析することで、災害時や日常の網羅的なインフラ監視体制を構築でき、災害の予兆発見から現場確認、防災措置 (通行規制・避難勧告など)、現場の安全確認、解除までの警戒避難対応における国・自治体の意思決定の精度とスピードを向上したい考えだ。
3社は2018年中に実証実験を始め、2019年のシステム実用化を目指す。今後は同システム実用化に参画を希望する企業とも広く連携し、当該構想の更なる進化を目指すとともに、民間企業を対象にした各種サービスの検討も進めていくとした。
各社の役割
- KDDI:
KDDIは携帯電話の位置情報ビッグデータ、および新たに開発した「人口動態分析/予測」技術を用いて、人口動態と各種IoTセンサーデータを統合分析する同システムの検討を行う。災害時には避難場所における人口分布の分析等により、避難場所への効果的な物資搬送などを可能する。 - 応用地質:
国、自治体、各種研究機関への防災・減災コンサルティング分野の実績と経験を活かして、自然災害などを常時監視する各種センサー (水位計、傾斜計、地震計、冠水センサーなど) を地域内に設置し、モニタリング情報などを同システムに提供。また、アラート発動時に自治体の防災担当者が実施すべき防災行動計画 (タイムライン) の運用を支援し、減災効果と住民の安全確保に貢献する。 - トヨタ:
トヨタの「モビリティサービス・プラットフォーム」から統計処理された、交通情報プローブ、ハザードランプ作動、外気温などを同システムに提供し、通行実績を可視化することで安心・安全なまちづくりに貢献する。
【関連リンク】
・ケイディーディーアイ(KDDI)
・応用地質(OYO)
・トヨタ(TOYOTA)
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