ダイハツの取り組み
講演の前半では、パネリスト3名が各社のラストワンマイルに関する取り組みについて発表した。
最初に発表したのは、ダイハツ・くらしとクルマの研究所所長の生駒勝啓氏。生駒氏は売り手と顧客をつなげる位置特定技術について説明した。

営業マンと顧客の間にある感情のギャップ
まず車の購入から顧客の元へ納車するまでの過程における課題についての話があった。
生駒氏によれば、その課題は、「営業マンと顧客の間に生じる、相手に対する関心の変化」なのだという。
営業マンの相手に対する関心が一番高いのは契約の完了までであり、契約後は顧客に対する関心は低下していくという。一方、顧客側の購入した車に対する関心は、契約後にどんどん高まっていくもの。ここで営業マンと顧客の間における感情のギャップができてしまう、という。
このギャップについて、従来は納車までのリードタイムを短くすれば良い、という考え方が普通だったという。しかし、そうした考え方を変え、リアルタイムで納車までの過程を顧客に開示することで感情のギャップを埋めることはできないか、と述べた。
GNSSを使った顧客とのコミュニケーション
上記に対する取り組みとしてダイハツ・生駒氏が紹介したのが、全地球航法衛星システム(Global Navigation Satellite System=GNSS)を使った、車の自動搬送システムだ。
GNSSとは人工衛星から発する信号を用いて位置情報を特定するシステムのこと。対応受信機を車に搭載すれば、車両の位置情報などを遠隔で管理することができるという。
ダイハツではこのGNSSを用いた新車の無人搬送システムを検討しているという。顧客はスマートフォンを介して、自分が購入した車が現在、どのような状態にあるのかをリアルタイムで把握することができると、述べた。
講演ではダイハツの九州中津工場での、無人搬送車の実証実験の模様が紹介された。

生駒氏によれば「GNSSによって、車を売った側とお客様が最後の最後までとつながることができる」とのことだ。
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1986年千葉県生まれ。出版関連会社勤務の後、フリーランスのライターを経て「IoTNEWS」編集部所属。現在、デジタルをビジネスに取り込むことで生まれる価値について研究中。IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。