昨今、生産年齢人口の減少に伴う労働力確保が重要な社会課題となり、また警備業界においても警備員の負担軽減・労働環境の改善が求められている。
セコム株式会社では、この課題に対する一つの解決手段として、広域エリアにおける巡回警備業務の効率化と警備員の負担軽減を目的に、巡回警備業務におけるパーソナルモビリティ「歩行領域EV(警備実証用モデル)」(以下、歩行領域EX)の活用検討を行っている。
これまで大型ショッピングモールやスタジアム、空港などの道路交通法の適用対象外となる私有地内での実証実験を実施し、効果検証を行うとともに活用実績・ノウハウを蓄積してきたが、社会実装に際しては、関連法制度等の制約により、巡回警備のルートとなる建物周辺の公道など、私有地以外の場所では巡回警備の実情に沿った形での走行ができないことが課題だった。
一方、巡回警備のような業務においてパーソナルモビリティを活用することには社会的な意味があるという観点から、東京都が国に対し、国家戦略特区における規制改革提案として、セコムの事例を含む「公益的な事業等における搭乗型移動支援ロボットの活用」を提案している。
このほど、セコムとトヨタ自動車株式会社は、東京都江東区青海にあるテレコムセンタービルならびに青海フロンティアビル周辺の「公道(歩道ならびに横断歩道)」を含む巡回警備において、歩行領域EV活用の実証運用を開始した。
歩行領域EVの利用条件は以下の通り。
- 警備員資格を保有し、あらかじめ乗車訓練を受けた警備員のみが使用
- 歩行領域EVの利用者は、原動機付自転車の運転に必要な運転免許を保有しているものに限定
- 一般歩行者と混在する場所を走行する場合には減速、十分な距離を取るなどの安全対策を実施
- 歩行領域EV乗車においては、ヘルメットを着用
- 走行場所は、巡回警備の対象となる建物周辺の歩道ならびに横断歩道などを含むあらかじめ許可を得たエリアのみを走行
- 歩道ならびに横断歩道走行時は、最高速度を時速6㎞以下として走行

なお、同実証は、2020年12月に警察庁から出された「『搭乗型移動支援ロボットの公道実証実験』等に係る取扱いについて(通達)」、ならびに2021年5月に国土交通省から出された「公道実証実験事業に用いる搭乗型移動支援ロボットの基準緩和認定要領について」を受け、国家戦略特区内で歩行領域EVの公道走行が一定の条件下で可能となったことから、通常徒歩で行っている建物外周の公道(歩道ならびに横断歩道)での巡回警備に歩行領域EVを使用して効果を検証し、運用上の課題を見出すことを目的として実証運用を実施するものである。
無料メルマガ会員に登録しませんか?

IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。