今年もソラコムの年次イベント、Discoveryが開催された。
昨年に続きオンラインで行われたイベントだが、3日間にわたりたくさんの登壇者がさまざまな事例を発表し、昨今のIoTの活用シーンを一気見することができた。この記事では、これまでのレポートをまとめ、イベントの全体を振り返る。
目次
新機能・サービス紹介
WifiでもIoTプラットフォームが利用可能に
まず、注目の新機能としては、SORACOM Arcという、WifiでもIoTプラットフォームを活用することができるサービスが発表された。
通信プランの改善とSoCにSIMを搭載
そして、グローバル化、ニーズの多様化に伴う、通信プランの改善と、eSIMから一歩進み、ウェアラブルにニーズが高そうな「SoCにSIMを搭載する」という取り組みについても発表があった。
エンタープライズ向けメニューの充実、新しい評価デバイスの登場
さらに、エンタープライズ向けのサポートメニューの充実や、新しい評価デバイスの発表があった。
大企業とのコラボレーションとグローバル
次に、スタートアップであるソラコムが如何に巨大な企業とタッグを組んでやってきたか、そして、今後そういう企業がどういうことに注意すべきかといった点はとても気になることだろう。
日本発のグローバルサービスを目指して活動をしているソラコムが、どういうことを意識しているのか、といった未来に目を向けた話もあった。
スタートアップと大企業のコラボレーション
「大企業とベンチャーの共創」をテーマに、KDDIの高橋社長、ソニーの十時取締役、ソラコムの玉川社長をパネリストに、WiLの伊佐山CEOをモデレータに迎え対談が行われた。
KDDIとソラコムが組む「グローバルIoTアクセス」
そして、KDDIとソラコムがタッグを組む新サービス「グローバルIoTアクセス」に関する紹介があった。
事例紹介
キーノートでは、冒頭ソラコム 玉川氏がmixiやアシックスなど、さまざまな新事例について紹介。
その後、メルカリ 執行役員の野辺氏から、「メルカリポスト」でのIoTプラットフォームの活用について説明があった。
メルカリポスト
「メルカリポスト」は、メルカリで売れた商品を無人投函することができるシステムなのだ。メルカリポストを全国に配置したいという想いの一方で、そこに必ずしも通信があるとは限らない。そこで、ソラコムを使うことで、場所に依存しない設置が可能となるのだという。
現在5,000箇所に設置予定ということで、今後更なる多機能化も進める予定があるのだとした。
LUUP
そして、LUUP岡井社長が登壇、電動自転車や電動キックボードにおけるSORACOMの利用について、紹介した。
その中で、岡井氏は、コンソールが充実していること、そして、API連携によって多様なシステムを組めることができるというメリットを述べた。
LUUPの場合、設置して利用開始状態になってから通信費用を支払いたいというビジネスモデルなのだが、SORACOMの場合、通信が始まってから課金となることもメリットとして大きいのだと述べた。
NinjaEntranc
続いて、Ninja Lockを開発している、ライナフの滝沢氏が登壇。再配達の問題が顕在化する中、置き配による解決を行うため、後付けでマンションのオートロックを解除することができる、NinjaEntranceを紹介した。
このデバイスは、Amazon用のものと、ヤマトなど配送事業者向けのものがあるのだという。
SORACOM Airを活用していて遠隔からでも利用の開始や休止、接続履歴などをみることができるということだ。
ニチガスストリーム
さらにニチガスの和田社長が登壇。「ニチガスストリーム」と呼ばれるデータ統合基盤を構築、スマートメーターを提供する仲、その情報収集に多様な通信手段を使っているのだという。
LPWAで通信可能なエリアについては、Sigfoxを活用し、それが利用できないエリアではセルラー通信を利用することによって、常時接続が不要な利用シーンでの接続方法の使い分けをしているのだということだ。
ソラコムの通信では、セルラー通信意外にも、LPWAや今回仲間入りしたWifiなど、多様な通信環境においても、IoTプラットフォームを活用することができるため、こういったケースに会っているとも言える。
ウェザーニュース「ソラテナ2」
ウェザーニュースからは、気象データをビジネスに活用するソリューションについて紹介された。
ヤマト運輸の「あんしんハローライト」
ヤマト運輸が行う、新しい見守りサービス「あんしんハローライト」を紹介。
宅内に設置したライトの点灯状態を見ることで、見守りを行う。必要に応じてヤマトのドライバーが駆けつけるというサービスだ。
たけびし「製造現場のIoT」
産業機器システムや半導体デバイスを扱う技術商社であるたけびしが、ソラコムとタッグを組んで生産現場で使えるIoTサービスを実現している。
フジテック「遠隔監視」と三菱重工「点検ロボット」
フジテックからは、エレベータの遠隔監視と統合地図サービスの実現。そして、三菱重工からは、プラント自動巡回点検ロボット「EX ROVR(エクスローバー)」の紹介があった。
いずれもグローバル展開をイメージした内容となっている。
そのほかにも多数の事例が紹介された。さまざまな分野で利用が広がるソラコムのIoTプラットフォームが、今後どういう進化を遂げていくのか楽しみだ。
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。