活用段階にきたデジタルツインとスマートファクトリー —FAプロダクツ主催「Smart Factoryセミナー2018」

製造業の未来といまやるべきこと

(仮)様子見は終わったスマートファクトリー —FAプロダクツ主催「Smart Factoryセミナー2018」
(左)株式会社神戸デジタル・ラボ 取締役 新事業創造係長 IoT班長 村岡正和氏、(右)株式会社FAプロダクツ 代表取締役会長 天野眞也氏

次に、「スマートファクトリー化に『クラウド』は本当に必要か?」というテーマで、パネルディスカッションを実施。FAプロダクツ 代表取締役会長の天野眞也氏、神戸デジタル・ラボ 取締役 村岡正和氏、MODE Inc. ジャパンカントリーマネージャーの上野聡志氏が登壇した。

上野氏はまず、製造業では「クラウド」が殆ど活用されていない現状について説明。その理由について、「セキュリティ」が論点となった。

社内に20名弱のホワイトハッカーのチームを持ち、セキュリティソリューションの管理・開発を行う神戸デジタル・ラボの村岡氏は、「クラウドとオンプレミスの安全性は等価だ」と述べた。

「クラウドにデータを集約すると障害点(システムの弱点)は1つだが、工場ごとにサーバがあれば障害点はその分増える(100工場あれば障害点は100個)。障害点が増えるとコストも増大する。比較例を挙げればきりがないが、先入観にとらわれず、どちらが安全かよく検討してほしい」(村岡氏)

また上野氏は、Web業界と製造業の違いについて、「Webの場合、仕様定義はオープンソースだ。しかし、工場のデータは外に出ていない」と指摘。

それに対して天野氏は、「お客様から頂く仕様定義は古すぎることが多い」と指摘。製造業はクローズドである分、生産技術の担当者が、最新の設備仕様を知る機会が限られていることが問題だという。

設備の導入は、「生産計画→生産ラインへの投資→仕様定義→要件定義→SIerによる見積もり」というプロセスで進められる。従来では、「要件定義」以降をベンダーが担うのが普通だった。

しかし天野氏は、「これからはデジタルツインでお客様が求める設備・工場をつくり、お見せする。だから、生産計画が決まった時点で声をかけてほしい」と呼びかけた。

(仮)様子見は終わったスマートファクトリー —FAプロダクツ主催「Smart Factoryセミナー2018」
(左)MODE Inc.日本代表 ジャパンカントリーマネージャー 上野聡志氏、(右)IoTNEWS代表/株式会社アールジーン 代表取締役 小泉耕二

最後に、IoTNEWS代表/株式会社アールジーン 代表取締役の小泉が登壇。IoTやAIの活用で激変するグローバルの状況について解説した。

小泉は、8月31日から9月5日までベルリンで開催された世界最大のコンシューマーエレクトロニクスショー「IFA2018」を取材していたが、そこでキーワードとなっていた「Co-Innovation」の概念について説明した。

テレビは高解像度化・大型化が進む一方で、インターネットの接続もニーズとしてある。しかしテレビで高速通信を行おうとすると、高性能チップが必要であり、従来は難しかった。ところが、IFA2018では高性能チップを搭載したテレビが登場していた。これには、スマートフォンで高性能チップが量産され、価格が低下したことが背景にあるという。

「当たり前のことに聞こえるかもしれないが、自分とは全く関係のない業界でのイノベーションが、ある日突然自分の業界にイノベーションをもたらす(Co-Innovation)可能性があることを意味している」(小泉)

小泉は、2016年のCESで発表された、BMWの「サイドミラー」を必要としないクルマに言及。「2年たったいまでも、サイドミラーが付いたクルマが多く走っている。しかしこれもCo-Innovationにより、いつサイドミラー市場がなくなるかわからない」と述べた。

しかし、市場がなくなることを心配していても仕方がない。「関係ないと思われる分野でも、自分たちのコア技術が使える市場を探すために、世界で何が起きているのかを知ることがとても重要だ」(小泉)

小泉は、こうした状況で製造業が勝ち抜くための方法として、土木建築業のデジタライゼーションを実践する建機メーカーのコマツや、エコシステムによってスマートホーム事業を展開するアメリカのNest、デジタルツインによって創業3年でEVの商用化に成功したドイツのe.GOの事例などを紹介した。

【関連リンク】
FAプロダクツ(FA Products)
「ものづくり白書」(経産省)

無料メルマガ会員に登録しませんか?

膨大な記事を効率よくチェック!

IoTNEWSは、毎日10-20本の新着ニュースを公開しております。 また、デジタル社会に必要な視点を養う、DIGITIDEという特集コンテンツも毎日投稿しております。

そこで、週一回配信される、無料のメールマガジン会員になっていただくと、記事一覧やオリジナルコンテンツの情報が取得可能となります。

  • DXに関する最新ニュース
  • 曜日代わりのデジタル社会の潮流を知る『DIGITIDE』
  • 実践を重要視する方に聞く、インタビュー記事
  • 業務改革に必要なDX手法などDXノウハウ

など、多岐にわたるテーマが配信されております。

また、無料メルマガ会員になると、会員限定のコンテンツも読むことができます。

無料メールから、気になるテーマの記事だけをピックアップして読んでいただけます。 ぜひ、無料のメールマガジンを購読して、貴社の取り組みに役立ててください。

無料メルマガ会員登録