CES2019から読み解く、消費者向けプロダクト開発のヒント ―八子知礼×小泉耕二【第15回】

「強み×デジタル」のプロダクト開発

小泉: もう一つ、最近のプロダクト開発の傾向を象徴している製品が、ライオンの「VISOURIRE」という製品です。

ライオンと言えば、歯磨き粉や洗剤を思い浮かべる人が多いと思いますが、「VISOURIRE」はデバイスです。電動歯ブラシのような形をした美容機器で、頬の裏側から音波振動を与えながら、ほうれい線を押し上げるようにして使います(詳細はこちら)。

ライオンさんは豊富なオーラルケアの知見を持っています。そこに、デバイスの知見をかけ合わせて生まれたのが「VISOURIRE」です。化学や生物学といった非デジタルの領域に対して、デジタルや通信、デバイスの技術を「かけ算」して製品を開発する。こうした取り組みについて、八子さんはどう思いますか?

八子: 何であれ既存の製品はやがてコモディティ化していきます。そうすると、企業は新製品を開発するヒントをアカデミックや最先端の論文から拾ってこなければなりません。

しかし、そうした場合には普通、十分な開発期間が必要です。一方、デジタルは汎用性があり、使いやすい技術ですから、かけ算がしやすい。ある意味、デジタルはビジネスとアカデミックの「境目をなくす」力を持った技術だと言えます。

小泉: 今後は、「異なる領域の技術をかけ算したらこんなモノができないかな」と思えるイマジネーションが重要になってきそうですね。

八子: そうですね。また、そうした発想を、インターネットサービスのようにまずはβ版をつくり、次はα版へというように、少しずつバージョンアップしていくようなことも容易になっていくでしょう。

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