介護士のための見守り、着るロボット、など介護現場で役立つデジタル技術

平成29年度に実施された「介護労働実態調査」の結果によると、介護サービスに従事する従業員の不足感は7割近く、平成25年以降、4年連続して不足感が増加している。

不足感の理由としては「採用が困難である」が8割程度、「離職率が高い」が2割程度だ。

介護従者の人手不足に対して外国人労働者の受け入れや、介護休業や介護休暇を就業規則に定める、といった取り組みを行なっているが、テクノロジーの活用を考えていくことも重要である。

介護の問題は生きていればいずれ誰しもが直面する問題であり、される側だけではなくする側としても自分ごととして捉える必要がある。

そういった中、テクノロジーで補える部分は補うという考えは両者にとって有用な措置だと考えられる。

そこで今回はIoTを活用した介護に関する事例を紹介したい。

介護士にも利用者にも優しい見守り

Z-Worksでは、介護施設の見守り機能を果たすLiveConnect Facilityというサービスを展開している。

介護におけるIoT事例
LiveConnect Facility HPより
[参考記事] 介護サービスの課題を、現場のノウハウで解決 ーZ-Works小川氏インタビュー

介護施設では、夜間介護士1人で20人ほどの介護者を担当しなければならない施設も多く、見回っている間に起こる転倒事故には気づきにくい環境がある。

また、眠っているかの生存確認も以前では口元の息を確認しなくてはならず、かなり近づかなければならなかったが、ベッドの上での心拍・呼吸が遠隔で確認できるため、居室に入らなくても安否が確認することができる。

具体的にはドップラーレーダーを使用しての非接触で心拍数と呼吸数の確認を行ったり、ベッドの足元に人感センサーを置く、バイタルレーダーで離床やトイレの利用で部屋から出たかどうかという確認をする、といったことを複数のセンサーで行い、そのデータをクラウドのAIサービスにて行動解析し、異常検知するというシステムだ。

どのようなセンサーをどれだけ置くのか、センサーが感知した後の要件定義などは各施設と検討を行いながら導入していくとのことだ。

1年の検証を経て、パワードウェアを介護で活用

次に紹介するのはATOUNが開発した、主に物流や工場などの現場で導入されてきた着るロボット「ATOUN MODEL Y」を、介護現場で使用するという事例だ。

ATOUNの腰の負担を軽減する「着るロボット」、介護施設向けに販売開始

[参考記事] ATOUNの腰の負担を軽減する「着るロボット」、介護施設向けに販売開始

以前からこの着るロボットは商用化されていたが、介護現場では1回の移乗介助であればごく短時間で作業が済んでしまうことから、着るロボットを着用する手間が活用されない原因となっていたのだという。

そこでATOUNは、社会福祉法人 隆生福祉会の協力を得て、現場使用時の安全面や有効性について1年にわたり検証を行った。検証の結果わかったことは、「腰の負担の有無」だけを活用の基準とするのではなく、「作業に要する時間」の削減に着目するということだ。

つまり同じ「移乗」でも、介護施設の共有スペースなどでの「連続した移乗介助」であれば一度の作業時間も長く、「着るロボット」の着用の手間を煩わしく感じることも少ないため、抵抗なく活用できるのではないかという発想だ。

また、もう1つの介護現場における課題として見えてきたものは、介助者の「ロボットへの心理的抵抗」だ。ほとんどの介助者が基礎知識がないまま、現場でいきなり「着るロボット」の使用にのぞむことから、心理的抵抗によってうまく使いこなせないケースが見られたのだという。

こうした事情を受けて、学校法人 大阪滋慶学園 大阪保健福祉専門学校の藤原孝之教務副部長が、ATOUNサポートのもと、学生の卒業研究の一環として介護ロボットをテーマにした取り組みを開始した。

学生のときから基礎知識を持つことで、就業時の現場でのロボット活用への心理的抵抗が小さくなり、介護現場での「着るロボット」の活用がさらに促進されると考えているのだという。

非接触おむつセンサーで負荷を軽減

最後に紹介するのは排尿、排泄をシート型センサーで通知してくれるというソリューションだ。

オフィスワンが介護施設向け非接触おむつセンサーを開発、IoT見守りシステム「Happiness絆」に搭載

[参考記事] オフィスワンが介護施設向け非接触おむつセンサーを開発、IoT見守りシステム「Happiness絆」に搭載

介護施設の現場では夜間の就寝状況確認、排泄・排尿確認が大きな負担となっており、従来の方法ではおむつ内にセンサーを取り付けて湿度や温度変化を測るということを行っていた。

しかしこの方法では身体に直接触れるため衛生管理の手間がかかり、形状によっては睡眠を妨げてしまうという課題があった。また、「濡れたか・濡れていないか」の検知のため、少量の尿でも反応することがあった。

そこで、オフィスワンは、非接触おむつセンサーを開発し、病院・介護施設向けIoT見守りシステム「Happiness絆」の新センサーとして発売している。

Happiness絆では、この非接触おむつセンサー以外にも、非接触で「心拍数」「呼吸数」を取得するバイタルセンサー、ベットの下に設置する離床センサー、浴槽の中で「心拍数」「呼吸数」を取得できるお風呂センサー、腕などに装着する位置お知らせタグセンサー、温湿度センサー、トイレ入退出お知らせセンサーといった取り付けセンサーから必要なものを選び、介護施設などの導入していくのだという。

このように、介護現場にも様々なセンサーや補助器具を活用しサポートする流れが生まれてきている。介護される側、する側一人一人がどのような介護を必要としているのかを検討し、必要なサポートを導入していくことが重要だ。

Previous

デジタル社会であなたのデータをどう保護するか

トヨタもキャッシュレスへ、CASE、MaaSとの関係性と儲け方

Next