IoTの伸びしろは7兆円、マイクロソフトが考えるIoTとは  -日本マイクロソフト 大谷氏インタビュー(1/3)

IoTで重要な役割を果たすプラットフォーム。様々なIoTプラットフォームが登場している中、マイクロソフトはどのような思想でどのような取り組みをしているのか。

日本マイクロソフト株式会社 マーケティング&オペレーションズ クラウド&エンタープライズビジネス本部 クラウド&サーバー製品マーケティング部 エグゼクティブプロダクトマネージャー 大谷健氏に話を伺った。

今回は非常にロングインタビューとなったため、3回に分けてお送りする。

IoTの伸びしろは7兆円、マイクロソフトが考えるIoTとは  -日本マイクロソフト 大谷氏インタビュー(1/3)
「Internet of Your Things」を掲げるマイクロソフトのIoTプラットフォーム  -日本マイクロソフト 大谷氏インタビュー(2/3)
マイクロソフトの先進的なIoT事例  -日本マイクロソフト 大谷氏インタビュー(3/3)

 
-御社のIoTへの取り組みについて教えてください。

私はこれまでMicrosoft Azureというクラウドの製品マネージャーを担当してきましたが、今年から正式にIoTの責任者を専任しています。

IoTだけではなく、ビッグデータの事業も推進しておりますので、IoTを含むビッグデータ関連のクラウド上でのビジネス推進も含みます。マイクロソフトが考える、IoTというのはクラウドを活用することがベースになっています。

IoT時代の機会と課題というのは色々なところで話されていますので、とにかくすごいビジネスオポチュニティがあるというところをお伝えし、マイクロソフトがどこに注力しているか、取り組みや先進的事例を中心に、今後どういうふうにIoTが進化していくかというところも少し提言めいた部分ではありますが、お話していきたいと思います。

-まさにお伺いしたかったことです。よろしくお願いします。

IoYT    日本マイクロソフト 大谷氏インタビュー
左:IoTNEWS代表 小泉耕二/右:日本マイクロソフト株式会社 マーケティング&オペレーションズ
クラウド&エンタープライズビジネス本部 クラウド&サーバー製品マーケティング部
エグゼクティブプロダクトマネージャー 大谷健氏

 

今後、日本のIT市場は横ばい

IoYT  -日本マイクロソフト 大谷氏インタビュー(1/3)

たくさんのモノが繋がって、たくさんのお金が投資されて、その内の多くがBtoB、またはBtoBtoCというところでビジネス向けに使われていくというところが、我々が大きくIoTの市場を捉えた際の外観です。

とはいうものの、日本におけるIT市場全体は伸び悩んでいます。25兆円で推移していく中(図左)、かなり入れ替え戦が行われていて、多くがオンプレミスからクラウドに移行する形で全体がなんとか維持されている状態です。

これが、何を意味しているのかというと、ビッグデータというテーマで、IoTも含めて、今クラウド上でいろいろな事をお客様やパートナーがやり始めようとしているということです。ITへの投資が落ちずに横ばいでいくのは、このビッグデータの活用がかなり見込まれているからと捉えています。

更にIoTの市場だけを見てみると、2014年時点で既に9兆円のスペンドがあったのにも関わらず、これが12パーセントの年率成長率で2019年に向けて16兆円まで伸びていくといわれています(IDC調査)。この9兆円から16兆円にいく、7兆円の伸びしろ、我々はここに非常に注目しています。

この7兆円をマイクロソフトも含めた多くのITベンダーが狙っており、特徴的な業種としてはやはり製造が大きいといえます。とはいえ、その他の運輸や公共公益、官公庁、小売、医療、さらに今までM2MはやってなかったけれどIoTをこれからやっていくという企業にも広がっていくということで、産業分野自体はより拡大していくとみています。

とはいえこれは皆さんもご存知の通り、たくさんのIoTの構成テクノロジやいろいろなキーワードがあり、現状は複雑な状態です。ここにきて少しづつ整理されてきているので、事業者によっては自分達の軸足を決めて、少しずつIoTビジネスをやり始めていらっしゃるのではないかなと思います。

 

まだ加速していないIoT

しかし、IoTがすごく盛り上がってるのに、正直な印象としては、すごく加速しているわけではまだないと感じています。最大の導入の課題は何かというとセキュリティです。

外部からの攻撃、社内からの漏洩などITの世界では当たり前のことですが、IoTは今までインターネットにつながっていなかった世界なので、セキュリティが導入課題の一番の要因、障壁になっています。

IoTは「Information Technology (IT)」と「Operation Technology (OT)」が融合する世界になりますが、どちらも喋ってる言語も違いますし価値観も異なります。社内でも全然違った文化を持ってる部門同士が一つになってIoTで何かにチャレンジしようというときに、ステークホルダーも多いということもあって、共通の目的を持って進めるいうことがまず難しいです。更に違う尺度での投資効果というのを求めがちなので、ROIの出し方がまだはっきり見えていません。

具体的にはモノへの投資というのはあくまで、ROIの世界だとインベストメントで、リターンが出てくるのはそのモノをつないで出てきたデータを活用してビジネスに活かしたとき初めて出てきます。IoTの場合、このリターンが出てくるのは直接現場ではなかったりするので、どうやって投資効果を現場で出そうか、工場をどうやって効率化やコスト削減しておこうかというところに話が終始してしまうのです。これはM2M時代からやってきていたので、IoTに求めることはそれだけではないのですが、こういうこともあって、導入のスピードが上がっていません。

またスキルの問題もあります。OTサイドの方は組み込みのスキルセットはあると思うのですけども、クラウドの事はよく分からない。片やITサイドではクラウドでもう既にいろいろなインテグレーションサービスをやっていた部隊が仮にあったとしても、OTサイド、現場の事はよく分からない。

現場でどういうふうにラインが動いているか分からないので、やろうと思ってもスキルや知識に差があり、そこの部分が不足して上手くいかない。というのが私どもでこれまで、特に製造業の方とお話して出てきている導入の課題です。

 

マイクロソフトの取り組み

この課題に対してマイクロソフトがどういうふうに応えていくかという視点で、我々の取り組みというのをご紹介します。IoTの取り組みをご紹介する前に、そのまずベースとなるグローバルのパブリッククラウドについてご説明させてください。

IoYT  -日本マイクロソフト 大谷氏インタビュー(1/3)

現在、我々が提供するクラウドプラットフォーム Microsoft Azureは、世界22地域でサービスを展開しております。既に27地域までの拡大をアナウンスしている状態ですので、図の青になってる部分が稼働中、緑の部分がこれからできるというところです。

この22の地域の中に、現在100以上のデータセンターがあります。1地域の中に複数のデータセンターが入るイメージですけれども、この100以上のデータセンターが高速のバックボーンを通じて世界と繋がっているという状況です。

地域の数で、今グローバルなパブリッククラウドで競合2社が持っている地域の数を足してもマイクロソフトの22の方が多いのです。これは我々が今どれだけ先行投資で、クラウドサービスに必要となるインフラに対して先行投資をしているかという一つの指標として見ていただくことができます。

現時点でのマーケットシェアではなくて、これから5年後10年後と見た際のマーケットシェアというのが我々の先行投資の意味であり、我々のクラウドビジネスに対する意気込みであるということが少しご理解いただけるかなと思います。

余談ですが、巨大なこのインフラは、ついに海にも進出しているんですよ。世界でネットワークを張り巡らせてますけども、もちろん海底ケーブルでもつながっています。クラウドだったり地上だったり海だったり、場所を問わず我々はデータセンターを作っていきます。海底に作っても「クラウド」と言うのでしょうけども(笑)。これはまだまだ実証実験レベルではありますが、我々は引き続き様々な分野へ投資していきます。

 

インフラストラクチャーサービスはタフな戦い

IoYT  -日本マイクロソフト 大谷氏インタビュー(1/3)

この上で、展開しているサービスは上記の図のような感じになってます。二つに分けると、下の黄色い部分がインストラクチャーサービスで、これはどのクラウドベンダーさんでも提供しているコンピュートと、ストレージと、ネットワークですね。

これは、コモディティ化しているコンピューティングリソースです。ここはまさに規模の経済つまり資金力の勝負となります。高品質でパフォーマンスの高いクラウドをお客様にとって安価に提供していきます。安く出していくためには、たくさんのサーバーやネットワークを我々は購入して、規模もその購入力を使ってコストを下げて、その下がったコストをお客様に還元していくというモデルなので、これをできるクラウドベンダーさんというのは世界に3社くらいしかないのではないでしょうか。

これは、当然競合企業としのぎを削って今後もチャレンジしていく部分なのですけど、これだけをやってるのはすごいタフな戦いです。我々がインフラだけでなく、この上で何をお客様に提供し、展開しているかがさらに重要なのです。それはプラットフォームサービスになります。

2記事目へ続く。

 

IoTの伸びしろは7兆円、マイクロソフトが考えるIoTとは  -日本マイクロソフト 大谷氏インタビュー(1/3)
「Internet of Your Things」を掲げるマイクロソフトのIoTプラットフォーム  -日本マイクロソフト 大谷氏インタビュー(2/3)
マイクロソフトの先進的なIoT事例  -日本マイクロソフト 大谷氏インタビュー(3/3)

【関連リンク】
マイクロソフト

IoT/AIのトレンドや事例をお調べですか?
IoTNEWSでは、IoT/AIのトレンドレポートを毎月作成、法人会員限定で配布しています。 また、毎月有識者による様々なテーマでの勉強会を実施しております。
詳細はこちら
Previous

総務省、平成28年度「戦略的情報通信研究開発推進事業(国際標準獲得型)」研究開発課題の公募のうちICTロボットに係る公募期間の延長及び提案要領等の変更

イオン、デジタライぜ―ション、モビリティなど「地域エコシステム」の構築をスタート

Next