マイクロソフトのエバンジェリスト西脇氏が語る、AI・IoTでつながる・かわる近未来! ー内田洋行ITフェア2016 レポート

10月27日、「内田洋行ITフェア2016」が明治記念会館で開催され、IoT基調講演「伝説のエバンジェリストが語る!魅せる!ウェアラブル・ドローン・ロボティクス・AI!IoTでつながる・かわる近未来!」に、日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 エバンジェリスト 西脇 資哲 氏が登壇した。

冒頭に、「地球上のあらゆる人とあらゆる組織が、より多くのことを達成できるようにする」というマイクロソフトのコアを説明した。西脇氏は「マイクロソフトはクラウドベンダーではなく、インテリジェントクラウドベンダー。クラウド上でAIのエンジン、分析するための画面、皆さんがやりたいサービスを作りこんでお渡しすることが使命」と述べた。

マイクロソフトは、Raspberry Pi2、Intel Galileoなど様々な基板でWindowsが動くようにWindows IoTを搭載し、開発のハードルを下げている。西脇氏は、必ずしもWindowsで動かす必要はないと前置きしつつ、「とにかくモノからデータを集める最初のステップが重要」だという点を繰り返し強調した。Windows IoTエディションはライセンスフィーを取っておらず、「とにかくモノが繋がることが重要だ」という考えは、これまでのマイクロソフトに比べると大きな方向転換だという。

 

IoTで儲かるのは4つしかない

マイクロソフト -内田洋行ITフェア2016 「伝説のエバンジェリストが語る!魅せる!ウェアラブル・ドローン・ロボティクス・AI!IoTでつながる・かわる近未来!」 レポート

IoTで儲けるには、モノ、コネクティビティ、データ、アナリティクスの4つのうちのどれかしかないという。

西脇氏は、それぞれ「モノやセンサーを作ってる企業はデータを全てクラウドに上げれば、必ずビジネスが変わる。コネクティビティについては、どうやってデータを吸い上げるかを考える、ネットワークのインフラを握った会社がIoTの勝者になるかもしれない。データを集める会社か、集める仕組みを作っている会社も勝者になるでしょう。集まったデータをどうするか、という点を考えるアナリティクスでは恐らく多くの業種に当てはまり、ビジネスが変わったり、新しいチャンスが生まれたり、収益構造が変わるだろう。集めても仕方ないだろう、と思えるデータでも全て集めておくと必ずどこかで生きるチャンスがある。」と見解を述べた。

事例:街の街燈をスマートにするIoTプロジェクト

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西脇氏は、IoT事例をいくつか挙げたが、まずヨーロッパで街燈を作っている会社を紹介した。

当時、ガス燈会社はガスの交換や掃除などで永遠に儲かると言われた。ところが現在ではガス燈はすべてLEDになっており、ガス燈会社が儲からない時代になっているため、仕組みを変えるしかなかった、と説明した。

そこでこの会社は「スマートライト」という考え方に変えたという。電灯には、気圧計、空気の汚れを計測、温度計、湿度計、騒音計などのあらゆるセンサーが設置されており、データをライブでみることができる。このことにより、電灯のメンテナンスする会社から、集まったデータを売る会社になった、という。しかもデータを販売するだけではなく、気象予測などの分析もする。

これは、ビジネスモデルそのものを変えた好例といえる。

事例:世界最大級のエレベーターメーカーのIoT

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エレベーターのモーターを作り管理をしているティッセンクルップ社の事例では、エレベータの管理をIoTを使っているという。

上記の管理画面では、現在エレベーターは問題なく動いているが、エレベーターが3機あるうちの2機目のエレベータでアラートが出ている。コンピューターによると、8日後の11月1日に故障すると予測が出ている。いわゆる予兆保全のアラートだ。つまり、壊れる前に近くにいるスタッフを派遣することができれば、ローコストで、エレベータを止めることなく運用ができる。

さらに、このシステムが賢いのは、定期検査よりも後に出る故障だったらアラートは出ないという点。ヒトが行う定期検査で故障を発見できるためだ。

事例:アメリカの在宅医療

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アメリカの在宅医療の事例もあった。上記の図は、患者にMicrosoft Bandをまいてもらい、心拍数、体温、血流、睡眠など健康管理の多くをウェアラブルデバイスからひろい、さらに体重、水道料系、ガスメーター、室内の気温、トイレの水量などのデータも取得し、モニタリングしているところだ。

上記図の右側は、患者のデータや様々なセンシングデータを元に、コンピューターがオートトリアージュをしている。つまり、重篤な患者で今する処置をするべきかそうでないか、をコンピューターが判断している。「人間が判断しなくて大丈夫なのか?」という声もあるそうだが、人間は50人程度のトリアージュならできるが、1万人ほどになると対応できないという。

医者は自分の経験から患者の優先順位をつけるが、このシステムはディープラーニングを利用しているため、どんどん進化をする医者になり、様々な情報により新しい病気になる可能性も発見することができるそうだ。そして、そういう情報から処置すべき患者の優先順位を入れ変えることもする。優先順位が高い患者へは、患者がつけているウェアラブルデバイスへ連絡する。

今後、必要になるのはAI

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西脇氏は「今後、必要になるのはAI。データが重要」と断言し、トイレにセンサーをつけた事例を紹介し、トイレとスカイプで会話をするデモンストレーションを行った。

西脇氏「私はこの後トイレに行った方がいいですか?」
トイレ「現在14:37:29、トイレはすべて空いています。本日の体調も安定していますし、このあとトイレも混雑しませんので、いつでもトイレにいくことができます。ご安心ください。」

この会話は、壇上で、非常にスムーズに音声で行われた。トイレが返事をするスピードも非常に速かった。

 

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続いて、コンピューターが目や耳の代わりをするCognitive Services の紹介もあり、写真の認識をするデモンストレーションも行われた。犬の写真をCognitive Services にアップロードすると、瞬時に分析し「茶色と白の犬が草原に座っている」と英語で回答された。西脇氏によると、ここまでの精度で回答ができる人工知能エンジンはマイクロソフトだけだという。

西脇氏は最後に、「あらゆる人と組織がもっと様々なことをやりたいと思った時に、手早くできなければいけない。そのために私たちはデバイス、クラウド、コグニティブや機械学習、そこを取り巻くソリューションがある。皆さんの活動の中でそれを少しでも生かすことができれば、社会、未来が変わるのではないか」と締めくくった。

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内田洋行ITフェア2016

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