製造業におけるデジタルエンタープライズのあり方(アクセンチュア・SAP) ーハノーバーメッセ2017 レポート2

ドイツ・ハノーバーで開かれた、ハノーバメッセ2017のレポート第二回は、デジタルエンタープライズの領域についてだ。

ハノーバメッセ2017 レポート:

  • 製造業の最前線
  • 製造業におけるデジタルエンタープライズのあり方
  • 設計・製造のデジタライゼーション
  • つながる産業機器のネットワーク[近日公開]
  • 製造業において、1990年代から進んできた経営管理システムのIT化。多くの企業が基幹業務をSAPやオラクルに代表されるERPシステムでサポートすることでコスト削減を図ってきた。

    一方で、製造の現場においては、第三次産業革命とも呼ばれる、自動化の流れが高度に進んできている。

    生産自体の自動化が進んでも、設計と製造の間、製造と物流の間に代表されるように、ビジネスプロセスは分断されている場合が多く、設計から製造、物流、そしてセールスや顧客対応までを一貫してデジタルでつなぐということはできていないのが現状だ。

    ERPシステムが全体のビジネスプロセスをつないでいるかのように見えて、実際には現場のデジタル化は個別で進んでいて、最終的に製造業において企業全体の情報システムが一気通貫で統合されているケースはなかなかない。

    しかし、IoTの対応が進む中、これらの分断されたビジネスプロセスがすべてデジタル上でつながり、無駄が省かれていくというのがデジタルエンタープライズ(経営のデジタルトランスフォーメーション)の考え方だ。

    アクセンチュアの考えるデジタルエンタープライズ

    ハノーバーメッセ2017

    アクセンチュアでは、コンセプトモデルの展示がされていた。このコンセプトは、製造の現場だけでなく、サプライチェーンやカスタマーサービス全体を俯瞰したモデルとなっていたことが興味深い。

    ハノーバーメッセ2017

    MOMより下の製造の現場から上がってくるデータが、エンタープライズシステムと統合されていくコンセプトが見て取れる。

    ちなみに、MOMとは、Manufacturing Operations Managementの略で、単なる製造の管理だけでなく、倉庫管理、品質管理、保守管理、従業員管理を包含する考え方だ。

    ハノーバーメッセ2017

    製造業におけるIoTの最終系は、この概念図のように、すべての情報システムが統合され企業活動そのものがデジタル化されていく流れだといえる。

    SAPの考えるデジタル・プロダクト・ライフサイクル・マネージメント

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    SAPはすでに、IBMのWatson、Salesforce.comのEinsteinと同じく、「知性」を標榜する、Leonardo(レオナルド・ダ・ビンチ)という名前の、コネクテッド製品群を発表している。

    今回は、PLMのソリューションとして、下図のような設計から製造までフォローする製品を展示していた。

    ハノーバーメッセ2017
    デジタル・プロダクトライスサイクル・マネージメント

    この全体像を表すデモとしては、顧客からカスタマイズ商品をオーダーされて、製造を行うというものであった。

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    KUKAやBECKHOFF、Honeywellなど複数企業の産業機器を使ってデモは構成されていた

    はじめに、顧客が色などをカスタマイズ要望し、オーダーする。

    直ちに、工場に情報が伝わりロボットアームが材料を取り出す。その後、個別のデザインを上部に施し、個別識別番号を登録する。そうして製造したものを品質検査し、棚にしまうという流れだ。

    これらの工程を経て得たデータは、分析ツールで表示され必要な機械学習のデータとして取り込まれていくということだ。

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    SAP Leonardoで製造状態をモニタリングしている様子

    この、SAP Leonardoという製品自体では、ライブエンジニアリングの機能だけでなく、eコマースへの情報のアップデートやプロダクトデータや運用インフラのデジタルツイン情報の提供、メカ・エレキ・ITのエンジニアリングデザイン、など多くの機能があるということだった。

    そして、当然のことだが、SAPのクラウドプラットフォームにはそれぞれの産業機器のデバイスデータを収集することができ、デバイスと業務プロセスをシームレスにつなぐ役割をもつのだ。

    ここまで見てきたように、製造業における経営管理全体として、製造というビジネスプロセスをみると、製造の現場という狭い世界だけでなく、サプライチェーンの中の製造プロセスであったり、顧客の情報を取得するマーケティングやセールス・サポートのフィードバック先となることがわかる。

    縦割りの組織で工場の中だけを管理している、もしくは、同一社内で工場同士を競わせるために工場間で情報の共有をしていないといった企業にとっては、こういった企業全体の最適化を図ることは難しいと言える。

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