設計・製造のデジタライゼーション(シーメンス・ダッソー・ベッコフ) ーハノーバーメッセ2017 レポート3

2017年のハノーバメッセ・レポートの3回目は、製造業における、設計・製造のデジタライゼーションについてだ。

ハノーバメッセ2017 レポート:

  • 製造業の最前線
  • 製造業におけるデジタルエンタープライズのあり方
  • 設計・製造のデジタライゼーション
  • つながる産業機器のネットワーク[近日公開]
  • よくいう例でいうと、設計者が3D-CADで設計した製品設計データを製造の現場に持ち込む際、製造ラインの調整や部材の調達の問題で設計と製造のプロセスで調整のためのタイムロスがかなりある。こういったところも同じデータを設計、製造の両者が見ることで、会話のズレを最小化したり、製品の動きや製造ラインをデジタル化して保持することで、事前に製造までのプロセスをシミュレーションすることができるというようなものだ。

    他にも、デジタル化された設計・製造ラインを活用して構築したリアルな現場に関する課題をデジタルツイン上にフィードバックするというものもある。

    シーメンスのデジタルエンタープライズソリューション

    ハノーバーメッセ2017

    さまざまな分野の産業機器や産業用ネットワーク、コントローラなど製造業におけるあらゆる分野の製品を幅広く持つシーメンスのブースでは、製造業のデジタル化に関して展示がされていた。

    製造の各プロセスにおいてデジタル化を進めることで製造全体のデジタライゼーションを果たすのだ。

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    プランニングのフェーズでは、製品そのものをデジタルデータを使って管理する。

    これによって、設計者と製造担当者の間での情報のギャップをなくし、スムーズに生産が開始されるようになるのだという。また、プロダクトに対するテストも事前にデジタル上で行うことも可能となっている。

    ハノーバーメッセ2017

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    次に、工場の産業機械をデジタルデータとして持つことで、実際に機械を配置する前にシミュレーションすることができる。

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    各製造の過程で発生するデータは、クラウド上のMindsphereと呼ばれるソリューションで吸い上げることで、状態を管理し、分析が可能となるのだということだ。

    ちなみに、Mind sphereは、フリートマネージメントをはじめとした機能があらかじめ実装されており、デジタルツイン上でさまざまなシミュレーションを行ったり、今後、ダッシュボードを活用してさまざまな状態を分析をしたり、セキュリティレポートを表示したりするソフトウエアで、デバイスとのプラグ&プレイ接続や、サードパーティのプロダクトとの接続も可能となるため、製造におけるエコシステムを構築することができるようになるというクラウドサービスだ。

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    その上で、実際の生産を行うのだが、例えば部品が故障したり、新しくなったりするケースがある。そういったときも、デジタル上で部品を取り替えてシミュレーションすることができるというところが特長だ。

    これによって、リスクを最小限にすることができるということが重要だという。

    また、製品データに関してもデジタルデータとして保持していることで、サポートにおいてサービスデリバリーコストを低減し、サービスの品質をあげることができるという。また、それぞれの顧客に合わせたサポート対応ができるということも、デジタルマニュファクチャリングの恩恵だと言える。

    ダッソーのプロダクト・ライフサイクル・マネージメント

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    ダッソーはフランスのPLM(プロダクト・ライフサイクル・マネージメント)や、3D関連ソフトウエアを中心とした企業だが、単なる3D CADでモデリングするというだけでなく、物理シミュレーションを行ったり、組み込みシステム開発を行ったり、回路図を書いたりするようなことも可能だ。

    さらに、DELMIAと呼ばれるデジタル製造を支えるソフトウエアも持つ。

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    デジタルマニュファクチャリングと呼ばれる機能を活用することで、生産工場のプラン二ングやシミュレーションを可能とし、意思決定に必要な情報を取り込むことで生産活動をリアルタイムでトラッキングしたり、スケジュールの変更やモデルの変更、保守計画などが実施できるということだ。

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    実際に設計した工場がデジタル上で動くイメージを見ることができる。

    また、ビジネスインテリジェントシステムとして、状況をダッシュボードで一括管理するようなこともできるということだ。

    ベッコフの産業用OSによる機械学習での現場データのフィードバック・後付けセンサーのための産業用PC

    ベッコフオートメーションというと、EtherCATと呼ばれる、産業用ネットワークを思い浮かべる人も多いだろう。しかし、実際にはネットワーク機器だけでなく、産業機械や産業用PCなども製造販売している企業だ。

    今回の展示では、WindowsOS上に乗せることができる、産業用OSである、TwinCATが紹介されていた。

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    このOSを使うと、システムリソースを、設定した範囲でリアルタイムOSとして実現することができる。しかも、複数の開発言語に対応しているため、これまで産業用PCやコントローラを開発する際、特別な言語を知っている必要があったり、デバイスによって使用可能な言語が異なっていてエンジニアが複数必要であったりしたが、こういった課題も解決してくれるのだ。

    さらに、このTwinCATを使うと、リアルタイムに産業機械の動作を学習させることができるというのだ。これによって、製造のデジタルツインを実現する際、課題となる産業機械の経年劣化状態や補正情報なども取り込んでコントロールすることができるようになるという。

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    また、40mm x 82mmという小型PCも紹介されていた。こちらは、IoTをやるために後付けのセンサーを工場につける際、コントローラーになるPCを置く場所に困るということがあるが、この小ささであればさまざまな場所に設置が可能となる。

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    ここまで見てきたように、コンセプトとして「工場をネットワークにつなげる」というイメージがかなり実現できてきているということがわかるだろう。

    新しい産業機械を購入して、すべての工場を総入れ替えするということが簡単ではない以上、ベッコフオートメーションズが提案しているような小型PCや、生産現場用のプログラミング言語を吸収することができるマルチ言語のリアルタイムOSの存在が欠かせない。

    そういったデバイスとクラウドの間を支える産業機器がある前提で、今回紹介したシーメンスやダッソーのPLMやクラウドソリューションが活躍することで、製造工程のデジタライゼーションが実現できるのだ。

    自動化や高速化が進んだ産業機械と工場だが、今後こういったつなげることで得られるデジタルツインを活用した、ビジネスプロセスの効率化や顧客の細かな要望への対応がどんどん現実のものとなっていく。

    ハノーバメッセ2017 レポート:

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