ラスベガスで明日から開催されるCES2019のプレショーキーノートは、韓国のLGが担当した。
一年のテクノロジーの動向を占う場ということで注目されるセッションだが、今年はLGということでスマートホーム周りの話が多いのかと予測していた。
登壇したLG社長兼CTOのパーク博士の講演からは、2015年頃から本格化してきたスマートホームの流れが一通りまとまり、大きな流れが決まってきたように感じられた。
スマートホーム、コネクテッドカー、スマートシティの分野に分かれて解説され、「LG ThinQ」と呼ばれるAIが異なるエッジ間をインテリジェントにつなぎ、その間で昨年のIFAでも紹介されていたロボットがコミュニケーションのつなぎ役として活躍するというシナリオとなっていた。
インテリジェントの定義だが、「UNDERSTAND YOUR NEEDS AND PURPOSE」と述べており、要は「気遣い」ができることを「インテリジェント」としていた。
例えば、スマートホームにおける洗濯について考えると、これまでヒトが手作業で洗剤を投入し、適切な時間や方法を洗濯し、ボタンを押してスタートしていたところを、洗濯機に洗濯物を入れ、音声で洗濯機に指示するだけで、自動的に洗濯機がどのくらいの洗剤が必要なのか、洗濯物を干す際に天気はどうなのか、などを考慮して適切な洗濯を行うという。
こういったことがキッチンやリビングなどでも行われ、それぞれが相互に接続することで必要な時に必要なコトをヒトに教えたり、実行したりする。
制御自体はAIが行っており、「スモールデータでも学習ができて」「エッジ側でも学習し」「長期間にわたって学習する(そして、毎日アップデートされる)」という3つのトレンドがあるのだという。つまり、未来の生活では掃除機が自律的に学習していくというのだ。
また、コネクテッドカーに関しては、「TRANSPORTATION YOUR LIVING ROOM TO THE CAR」つまり「リビングルームをそのままクルマでの移動にも」という考え方が説明された。
たとえば、「ADIENT」というシートは、座ると自動的にヒトを認識して心地よい姿勢にしてくれる。今後は5Gが登場することで、こうしたインテリジェントなしくみがさらに広がっていくことが期待される。
自動運転とAI、5Gの技術とシェアリングコミュニティがこういった考え方の実現を支えている。その結果、移動中のエンタテイメントが高度化し、我々の体験が大きく変わる未来が示された。
最後に「スマートホームやコネクテッドカーで実現できることをつなげていくことで、スマートシティにも発展性がある」ことを述べ、今後はオープンプラットフォームとなる「WebOS」を通して、様々なサービスベンダーやメーカーとオープンに手を繋いでいくとした。
そして、「スマートデバイスだらけの世の中に意味はない、生活を変えていくことに意味がある」と述べ、キーノートを締めた。
■CES2019レポート
トヨタの実用的な自動運転技術「Toyota Guardian™」 LGキーノート「テクノロジーは生活をより良くしたか?」 IBMキーノート「次のAIとは。よりよい社会に向けて」 ベライゾンキーノート「すべてを変える5G」 「VIAROOM Home」の展示に見る、スマートホームの「インテリジェント化」 つながるだけじゃない、生活空間のハブになるWhirlpoolのIoTオーブン 自動運転の社会をみすえ、モビリティ各社が考えていること HONDAは独自の「ロボティクス」技術を発信、開発パートナーを募る Qualcommブースで見えた5Gデバイスの裏側とC-V2Xの今 IoTフル活用のボッシュが、モビリティの未来を見せる Shiftallの初出展は、「DrinkShift」
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。