百聞は一見にしかず、オートデスクがみせるデジタルツインの現在と未来

現実空間の情報をデジタルに「写しとる」

百聞は一見にしかず、オートデスクがみせるデジタルツインの現在と未来
左:オートデスク株式会社 技術営業本部テリトリーアカウント エンジニアマネージャー 加藤久喜氏、右:株式会社アールジーン 代表取締役/IoTNEWS代表 小泉耕二

小泉: 今後、3D化が重要になってくるのはどういう領域でしょうか?

加藤: 一つは工場の生産設備です。日本でも海外でも、製品を3Dで設計するのはほぼあたりまえになってきています。しかしながら、生産設備が3D化されているお客さんはまだまだ少ないのが現状です。

とはいえ、オートデスクでは生産設備を3D化するツールを豊富に持っています。たとえば、弊社の「Factory Design Utilities」というソフトウェアを使えば、工場の機器の数やレイアウトを設計することができます。

具体的には、まず2次元の工場の図面や見取り図をつくります。そこに、製造する品目とその生産量、材料、設備のスペックや設置する位置の情報をインプットすると、CAD上に2次元のレイアウトが自動で組み上がっていきます。

実は、製造業向け3DCADの「Autodesk Inventor Professional」というソフトを使えば、この2次元の状態から、3次元に自動で組み替えることが可能です。そうなると、2次元では見えてこなかった問題が出てきますから、そこで3次元的な検討に取り掛かります。

小泉: 最初から3次元ではつくらないのでしょうか?

加藤: はじめから3次元で設計することもできます。ただ、製造業ではまだ紙の2次元の図面が成果物の一つとして重要な位置を占めているという現状があります。設計の方法はさまざまで、お客様のニーズに合わせて適したプロセスで設計を行っていただくことが可能です。

新設の工場でなくても、新たに設備を設置する場合には、3次元モデルをつくっておくことが必要です。しかし、長年経った工場にはさまざまな道具が置いてあったりして、人間がすべてその状態を把握して3次元におこすことは困難です。

百聞は一見にしかず、オートデスクがみせるデジタルツインの現在と未来
3Dスキャナーを使って取得した工場内の点群データ。まるでカメラを通して見たかのように、現実に近い画像ができあがっている。

そこで、オートデスクでは「Autodesk ReCap」というソリューションを提供しています。3Dスキャナーを使って、工場の状態をすべて「撮影」した点群データを取り込んで設計データとして使う準備をするソリューションです(上の画像)。それによって、実際の工場にかなり近いものをデジタル空間上に再現できます。

小泉: これが点群データですか。いやあ、きれいですね。

加藤: そうなんです。最近では3Dスキャナーの技術が非常に発達しています。これによって、たとえば新しい産業機械を置く場所の状態を正確に把握しておくことができます。あとは、搬入時にも役に立ちます。設備を置くスペースがあっても、それを搬入するクレーンが通れなかったら話になりませんから。

しかも、この点群データは3DCADの中にも入れられます。3DCADで設計中のプロダクトをデジタルの工場の中に置いてみて、もう少し小さくしないといけないとか、レイアウト変えなければいけないとか、検討することができます。

小泉: なるほど、すごいですね。

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