シミュレーションすればわかる、インダストリー4.0の世界
加藤: また、オートデスクでは他のさまざまなシステムとAPI連携できるプラットフォーム「Forge」を提供しています。シーメンスさんやダッソー・システムズさんが提供するソフトのCADデータはもちろんのこと、ERPやスケジューラーといったアプリケーションとも連携できます。なお、「Forge」でどのようなアプリケーションで使えるのかは、サンプルのサイトがありますので、そこから色々見ていただくことができます。
小泉: お話を伺っていて、色々な企業がクラウドを通して、設計から生産までのものづくりを行っていくイメージが持てたような気がします。
加藤: そうですね。今だと、紙の図面を持って打ち合わせに行くために、とても遠い距離を移動しているような企業さんも多いです。でも、もし図面の共有をクラウドでできたら、その必要はありません。
また、紙の図面でのやりとりだけでは、発注者と製造者がもつ製品のイメージがどうしても食い違ってしまう場合があります。それが、より「直感的な」3次元のツールで行えるようになればいいと思います。「本当に同じモノ」を共有しながら、会話していくことが重要です。
小泉: おっしゃる通りだと思います。
加藤: それでも最近の製造業は変わってきていて、新規の顧客を獲得するという目的のためにも、新しいテクノロジーをどんどん取り入れていきたいという企業さんも増えています。
小泉: そうなんですか。
加藤: ええ。ただ3次元モデルやIoT、シミュレーションなど最先端のテクノロジーを存分に活用している企業はまだごくわずかです。そこには、いっきにたどり着けるものではありません。ある程度、段階を踏んでいく必要があります。
ですから、オートデスクは2Dのソリューションも大事にしていきたいのです。まず、そこから始めていただく。そして、そこからさらに発展していくために私たちにできることが、「Autodesk ReCap」や2Dから3Dモデルをつくるしくみを提供すること、そして遠い未来の姿を見せていくことなのだろうと考えています。
小泉: なるほど。「インダストリー4.0」が叫ばれてから久しいですが、なかなか言葉だけだとその本質が見えてこともあります。ただ、ここまでシミュレーションできるということを見せていただいたことで、イメージがつかめたような気がします。本日はありがとうございました。
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。