今年も、上海で通信業界の展示会である、MWC2019上海が開催された。
これまで5Gはユースケースの展示が多かったが、ほとんどがデモンストレーションで、社会実装されたものを見る機会が少なかった。しかし、2019年から世界中でスタートする5Gサービスに対して、様々なサービスが準備されている。
3月30日に上海は、一部地域で5Gの実験地区となったが、それを受けてか、チャイナモバイルと、チャイナユニコムのブースでは、社会実装が始まったケースについて紹介されていた。
海での養殖に活用される5G
このボートは、「海のドローン」だ。
漁場の状況をしることができるもので、レーダーを発射し水面下の地表の状態や魚群の状況を収集する。そのデータを5G通信を使ってアップロードすることにより、リアルタイムに海の状態を知ることができるというものだ。
また、移動経路に関しては、地図上にラインをひくだけで自動走行することができる。
さらに、養殖場のイメージ展示もされていた。
これは、養殖場にセンサーを配置し、リアルタイムで水面温度、水下温度、PH値、などが分かり、魚への自動給餌や水温調節などを行うものだ。
養殖場にとりつけたカメラを使うことで魚の映像をもリアルタイムで確認することができる。
説明員によると「リアルタイムに大量データを取得するのには5Gが必要だ」と説明した。
5Gを活かした防犯
上海では街中のいたるところに防犯カメラが設置されていた。信号の上や電灯のようなものなど、あらゆるところにカメラが設置されているのだが、会場では、自走する車型の防犯カメラが展示されていた。
5Gに対応しており、自動走行や遠隔操作が可能なのだという。
問題が発生している箇所に駆けつけて、リアルタイムに状況を把握することができるのだ。
また、こういった陸送ドローンを走行させることにより、一目でカメラがあることが分かるので、犯罪の抑止効果も狙っていると感じた。
5G対応のゲーム
クアルコムのブースでは、MWCバルセロナからさらに5Gを紹介している企業が増えていた。
OPPOのような端末メーカーや、Wistron NwWeb Corpのモバイルルーター、ZTEの5Gルーターなどだ。
ユースケースとしては、テンセントが、通信基地局をZTEが、キャリアについてはチャイナテレコムが支援してsub-6GHzを使った5G対応のゲームの展示を行っていた。
これ以外にもリアルタイム性の高いネットワークゲームのユースケースはたくさん展示されていた。
サッカーのコーチングのユースケース
サッカーのコート内を動画撮影し、選手のプレー動画を取り込むことにより、選手の姿勢を推定をし、体の使い方の指導をすることができるものだ。
右の画面では、選手の動きがわかり、どのようにフィールドを動いているかラインで示され、フォーメーションの実現度合いや、動きについて把握することができる。
5Gを使い、リアルタイムで動画を見ることで、コーチや監督が、その場でフォーメーション変更や選手の動きについて指示を出すことができる。
アイスホッケーのコーチングのユースケース
また、同様にスポーツコーチングのソリューションで、アイスホッケーの試合をカメラで撮影し、その動画をリアルタイムでタブレットでみることができるソリューションが展示されていた。
360°カメラがスタジアムに設置されているため、タブレットを操作することで、様々なアングルからフィールドの状況を見ることができる。
また、動画から選手の位置を把握し、選手がどのように動けば良いのかを指で書き込んだり、範囲を指定し、選手にどこの範囲でどちらの方向に動いていくかを指導することができる。
これは2022年北京で行われる冬季オリンピックに向けた練習に実際に使用されているということだ。
まだまだ実証実験の域を超えないユースケースではあるが、実際にトライアンドエラーを繰り返すことで、通信キャリアや、基地局メーカー、端末事業者などのハード・ソフトメーカーはもとより、サービス事業者に関しても、5G利用の先行者利益を得ようとしている。
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