フーマーの事例で見るOMO
このようなことを踏まえ、OMOの代表格とも言える中国アリババグループが運営するスーパーマーケット「盒馬鮮生(フーマー)」の事例を挙げる。
[参考記事] アリババの街、杭州でみたBefore→Afterのデザイン力で拡大した中国の新生活中国のアリババグループは、アリババを始めとする世界でもトップクラスのEコマース事業を運営している企業だ。
そのアリババグループがスーパー、流通センター、レストランを併設した実店舗「フーマー」を展開した。
フーマー利用者の8割近くがネット経由であるというが、それでも実店舗を出すメリットは多くある。
まず中国においてECサイトを利用するときのデメリットとして、頼んだ商品が写真と違ったり、思っていたものと違うというリスクだ。
その点フーマーでは、ECサイト上で頼める商品が実店舗には取り揃えられており、海産物は新鮮な状態であることを自分の目で確かめることができる。
一度店舗に来て確かめたら次からはECで注文するという選択が取れる。もちろん実際に見て楽しみたい顧客はいつでも来店が可能だ。
そして商品毎に設置されたバーコードをスマートフォンで読み取ると、価格や評価、どこの産地か、いつ出荷されたかといった情報を見ることができるという。政府によって有機認証された商品であればその情報も表示される仕組みになっている。
また、物流の面では店舗に来店した顧客が選んだ商品を配送してもらうこともできれば、その場で買うこともできる。ECサイトで注文すれば店舗のスタッフが商品をピックアップし、配達員が配送してくれる。
さらにフーマーの3キロ圏内の場所であれば30分以内に配達されるため、フーマー近郊の家が人気になるという状態だという。
自分好みのスーパーにアップデートされていく
フーマーの会計はセルフレジのみで、アリペイと連動したアプリか顔認証を使用する。こうすることでEC、店舗、両方の購買データが集約されていく。
このデータがAIにより解析され、個人に合わせた情報やクーポンがアプリを通して表示される。
さらに店舗自体も全体の購買行動のデータから、「この地域の店舗にはこのような商品を取り揃えよう」と、地域によった好みのフーマーが形成されていくのだ。
このようにデータをシームレスに集約することで、オンラインオフライン関係なくアップデートしていく。そうして顧客満足度を上げ、顧客と長く付き合っていくことがOMOの真のメリットである。
(参考資料:アフターデジタル、CNBC International)
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