富士通、化学業界の共同物流実証実験でデータ標準化を支援

フィジカルインターネットとは、プロトコルの共有、モジュラー式コンテナ、スマートインターフェースの標準化により構築された物流ネットワークを基盤とした、グローバルなロジスティクスシステムだ。

これを実現するには、サプライチェーンに属する業界内での物流・商流データの標準化が不可欠となる。

こうした中、富士通株式会社は、経済産業省と国土交通省が主導する「フィジカルインターネット実現会議」内の「化学品ワーキンググループ」にオブザーバーとして参画し、2024年9月から12月の期間に関東・東海地区において実施された共同物流の実証実験の成果について発表した。

今回の実証実験では、複数荷主・複数物流事業者間における共同輸送が可能であることを実証するため、定期幹線便を中心とした共同集配を含む共同輸送モデルの実効性の確認と評価を目的としている。

そこで、複数の荷主と物流事業者間の各種データ交換をマルチに行うための「共同物流プラットフォーム」および、物流情報標準ガイドラインに準拠した化学品業界としての「物流情報標準フォーマット」の有用性を確認した。

富士通は、同社のサービス群「Fujitsu Unified Logistics」による共通データ基盤を提供し、様々な形式の物流データを収集・変換・標準化・蓄積するハブ機能を活用することで、荷主企業および物流事業者各社が保有するロジスティクスデータを連携した。

また、これまで各社独自で運用していたデータの項目や桁数などのデータ形式を「物流情報標準ガイドライン」に沿った構造へと変換・標準化し、ロジスティクスデータベースに蓄積する。

さらに、蓄積されたデータについて、KPI評価・分析機能を活用し、ロジスティクスのコンサルタントによる分析のもと、共同配送における効果算出のシミュレーションを実施した。

富士通、化学業界の共同物流実証実験でデータ標準化を支援
共同物流における富士通の取り組み

この「共同物流プラットフォーム」を活用し、貨・実車を伴う実地検証に加えて、中京~北陸間における共同物流のシミュレーションと、市原~東北間における輸送効率の分析を行い、共同輸送の効果と「共同物流プラットフォーム」の有用性を検証した。特に、実地検証においては、トラック積載率が20pt改善し、CO2排出量は28%削減することができた。

富士通、化学業界の共同物流実証実験でデータ標準化を支援
実地検証の結果

また、共同輸送における実走においては、誤配・遅配等のインシデントもなく、納品先に各荷主企業の商品を届けることができた。

これらの結果から、今回の実証実験では共同物流の実現可能性と物流効率化を確認することができたとし、今後は対象範囲を順次拡大する計画だ。

また、共同物流を実施するためには、複数荷主・複数物流事業者間での物流業務の標準化や、商慣行の見直しが重要であることが分かった。そこで、今回得られた知見を基に、化学品ワーキンググループにて公表した自主行動計画に則り、アクションプランの実行を進めていく予定だ。

将来的には、日本全国に展開可能な輸送モデルの構築を目指すとしている。

関連記事:
物流事業者の共同配送を実現、過疎地域の課題解決へ ― ゼンリン吉村氏・上谷氏インタビュー
物流クライシスを解決する、「フィジカルインターネット」とは ー経済産業省 中野剛志氏
物流2024年問題解決へ向け、トラック運送の生産性向上のための4つのKPIと成功事例

無料メルマガ会員に登録しませんか?

膨大な記事を効率よくチェック!

IoTNEWSは、毎日10-20本の新着ニュースを公開しております。 また、デジタル社会に必要な視点を養う、DIGITIDEという特集コンテンツも毎日投稿しております。

そこで、週一回配信される、無料のメールマガジン会員になっていただくと、記事一覧やオリジナルコンテンツの情報が取得可能となります。

  • DXに関する最新ニュース
  • 曜日代わりのデジタル社会の潮流を知る『DIGITIDE』
  • 実践を重要視する方に聞く、インタビュー記事
  • 業務改革に必要なDX手法などDXノウハウ

など、多岐にわたるテーマが配信されております。

また、無料メルマガ会員になると、会員限定のコンテンツも読むことができます。

無料メールから、気になるテーマの記事だけをピックアップして読んでいただけます。 ぜひ、無料のメールマガジンを購読して、貴社の取り組みに役立ててください。

無料メルマガ会員登録