人工知能の中でもディープラーニングの分野は機械学習の世界とは異なり、アルゴリズムも学習のさせ方も近年飛躍的に発展してきており、成果としてはヒトの学習成果と似たことが可能となるといわれている。
ABEJAは、人工知能、特にディープラーニングのベンチャー企業で、日本のトップの人工知能研究者に支援されている企業だ。
ディープラーニグという言葉が注目されだしたのは2013年頃で、猫の画像を猫と認識したという記事が、インターネット上で広く拡散されたことがきっかけで、もともとは、DARPA(ダーパ:アメリカ国防高等研究計画局)で生まれた技術だ。余談だが、DARPAでは、GPS daVinch, Rumbaなどの元となる技術を生み出している。皆さんの家庭にあるお掃除ロボットRumbaはもともと地雷除去のためのモノだったのだ。
ところで、ディープラーニング以前の過去の技術で顔の検出をしようとした場合、目や耳、鼻といったパーツを手で切り取って学習していかなければならなかった。
これが、ディープラーニングになると、すべてが自動で学習されるようになったのだ。この変化で、エラー率は飛躍的に下がり、現在ABEJAが研究しているものの場合、5%程度のエラー率まで落ちてきている。これはヒトのあやまりの精度と同じくらいだということだ。
ストアマーケティングに活用されるディープラーニング
現在、この技術は店舗分析に発展してきているということだ。
こういった店舗内の様子がわかる画像は現在でも防犯などの目的にために取られていると思うが、画像認識によってどの場所にどれくらいの人がいるのかということもわかる。そこで、店舗内の様子をカメラだけでなく、様々なセンサー情報やソーシャルメディアでその店舗について話されている様子、など、膨大な量の情報を人工知能によって分析することでかなり高い精度で未来の来店状況までを予測することができるようになるというのだ。
すでに、三越伊勢丹、東急電鉄、JUN(アパレルブランド)などで使われている。IoTでデータが溜まり始めると、人工知能で見えることが増えてくるというところがイノベーションだと考えていると岡田氏。
ユニークなのは、初期費用0円、月額費用15,000円で様々なデータをディープラーニングし、この仕組みを産業全体に浸透させることで、社会全体のデジタライゼーションを果たそうとしているところだ。(2015年12月現在)
未来を見ると、IoTでいろんなものがつながっていくので、「Industry5.0」、すなわち、すべては繋がって、全ては自動化されるということが可能になるのだ。電力から、工場、ストア、ホーム、交通、などのあらゆるところで人工知能が活用され、自動でフィードバックされるということができるはずだ。
岡田氏は、ABEJAがすべてのものを最適化することで、社会全体のデジタライゼーション果たしていきたいと述べた。
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。