ラスベガスで開催されているCES2019のレポート第5弾では、ヒトの行動を予測してインテリジェントにデバイスをコントロールするハブデバイス、「Viaroom Home」について紹介する。
家の中にあるテレビや冷蔵庫、洗濯機、照明などさまざまな機器・デバイスがIoTによってつながることで、ヒトの生活を豊かで便利にする「スマートホーム」の取り組みは数年前から世界中で進められ、CESにおいても毎年、その動向が注目を集めてきた。
特に、「Amazon Alexa」や「Google Assistant」をはじめとする音声応答AIをハブとして、住宅内にあるさまざまな機器を制御できるしくみが数多く登場してきた。
しかし、どれだけ多くのモノがつながり、制御できても、ヒトの生活を大きく変えるほど便利なものでなければ普及は難しい。そこで期待されるのがAIの活用である。ヒトが自ら操作するのではなく、AIが生活者の行動パターンを把握して、機器を自動制御したり、天気や交通情報などの有用な情報をタイムリーに提供したりできるしくみがあれば、ヒトの生活は大きく変わっていくと期待される。
レポート②(LGキーノート「テクノロジーは生活をより良くしたか?」)でも言及したように(※)、LGの社長兼CTOのパーク博士は、生活者のニーズと目的をくみとる(UNDERSTAND YOUR NEEDS AND PURPOSE)インテリジェントなAIを、スマートホームの理想形として語った。
フランスのスタートアップであるVIAROOMは、昨年のCESでAIを活用したインテリジェントなハブデバイス「VIAROOM HOME」を出展し、欧州と北米で販売してきた(※)。
「VIAROOM Home」は家の中にあるさまざまなデバイスから上がってくる生活者のデータを収集、機械学習を行うことで行動パターンを予測し、インテリジェントに機器を制御できるハブデバイスだ。
今回のCESではブースを拡大し、昨年からのアップグレードを訴求。生活者の行動データを学習するアルゴリズムが進化し、曜日ごとの傾向なども把握できるようになった(水曜日はいつも〇〇時に××をしているなど)。また、他のプラットフォームとの連携も開始。音声応答エンジン「Google Home」や、窓のブラインドやスクリーンを自動制御する「somfy」のしくみ、そしてハネウェルが提供するスマートホームのプラットフォーム「Honeywell Home」とも連動が可能になった。
生活者の行動予測の精度を上げるには、家の中にある機器となるべく多くつながる必要がある。そのため、こうした異なるプラットフォームやサービス間のオープンな連携は、スマートホームにおいて必至の流れになると考えられる。
※昨年の「VIAROOM HOME」のレポートはこちら。
■CES2019レポート
トヨタの実用的な自動運転技術「Toyota Guardian™」 LGキーノート「テクノロジーは生活をより良くしたか?」 IBMキーノート「次のAIとは。よりよい社会に向けて」 ベライゾンキーノート「すべてを変える5G」 「VIAROOM Home」の展示に見る、スマートホームの「インテリジェント化」 つながるだけじゃない、生活空間のハブになるWhirlpoolのIoTオーブン 自動運転の社会をみすえ、モビリティ各社が考えていること HONDAは独自の「ロボティクス」技術を発信、開発パートナーを募る Qualcommブースで見えた5Gデバイスの裏側とC-V2Xの今 IoTフル活用のボッシュが、モビリティの未来を見せる Shiftallの初出展は、「DrinkShift」
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。