IDC Japanの2019年7月24日に発表された、世界全体のスマートホームデバイスの出荷台数予測によると、スマートホーム(スマートハウス)デバイスの出荷台数は2019年第1四半期(1月~3月)に世界全体で1億6,860万台に達し、前年比37.3%の増加であるという。
世界的に普及しているスマートホームだが、国ごとでスマートホームの捉え方や普及しているサービスは異なる。
国の抱えている課題や文化背景から必要なサービスは変わってくる。
そこで、世界のスマートホームの事例を見ることで、世界が必要としているニーズにどういうものがあるかを考える。
導入のハードルを下げる
まずはアメリカで衛星ネットワークサービスを行っているDISHが展開しているスマートホームサービスだ。
元々は2011年にDISH Smart Home Servicesとして始まり、当時は在宅技術者が衛星テレビの設置など、在宅技術関連サービスを行っていた。そこから消費者向けのサービスを展開し、2019年6月にスマートホームソリューションブランド「OnTech Smart Services」を発表した。
OnTech Smart Servicesでは、Google Nest、Ring、Linksys、Wemo、Roku®、Yale、Polk Audio、Klipsch Audioなどのスマートホームデバイスを提供している企業と提携し、スマートデバイスの設置、それに伴う接続のセットアップ、インストール、使い方の説明などを行ってくれる。
例えばスマートドアロックをDISHのHP上から購入して配達の日時を選択すると、配達の際に技術者が同行し、スマートドアロックの設置、ハードウェアに必要なソフトのインストール、ネットワーク接続、ホームハブへの接続、モバイルアプリのダウンロード、スマートドアロックとモバイルアプリの使用方法の説明と、初期設定に必要なことを全てまかなってくれるというサービスだ。
スマートホームデバイスを取り入れてみたいが、設置方法や使い方がわからず躊躇している顧客に向けたサービスで、頼めばその日からスムーズに使用することができるのだ。
スマートスピーカーから発展させるために
次に紹介するのはSamsungが2014年に買収したSmart Thingが提供しているスマートホームサービスだ。
カメラ、センサー類、スマートコンセント、スマートボタン、ハブなどの商品を用い、それぞれを連携させ、家電の自動化、ホームモニタリング、必要に応じた通知の受け取りなどを行うことができる。
操作は専用のアプリを通してスマートフォンで行うか、スマートスピーカーとの連携も可能だ。
Googleアシスタントやアレクサとの連携も可能だが、Samsungは自社で「Bixby」というスマートスピーカーを発売しており、包括的に顧客と関わりを持とうというSamsungの考えが伺える。
利用者からしても、特に米国ではSamsungの家電はなじみが深いので、同じブランドでのスマートホームをDIYして取り付けるというのは受け入れやすいのかもしれない。
家具が動くことで変わる暮らし方
最後に紹介するのはIKEAが発表したロボット家具だ。
IKEAはスタートアップ企業のOri Livingと共同で「ROGNAN」というロボット家具を開発した。
このROGNANは、ウォークインクローゼット、ベッド、ソファなどが一体になった家具で、下部にはローラーが設置されており、ボタンを押すことで家具自体が移動したり、収納されているベッドが出てくる仕様になっている。
ワンルームなど限られたスペースで、リビング、ベッドルームーム、作業スペースなど、TPOにより変わる家の用途を、家具を移動することで実現するという大胆な発想である。
最初の発売は2020年に香港と日本で行われる予定だという。
都市に人口が集中している昨今のニーズをうまく捉えた製品だと言える。
このように海外でもスマートホームへの取り組みが伺えた。各国それぞれのアプローチでサービスや製品を体現しており、その動向に今後も注目していきたい。
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