クラウド ーDXキーワードテスト

企業:

特集「DX KEYWORD TEST」では、DXで必須となるキーワードに関するテストを実施。

さらに、4枚の図を使って、サクッと解説します。今回のキーワードは「クラウド」。全問正解目指してがんばってください!

100点を目指そう!DX KEYWORD TEST(5)


DX KEYWORD TEST第五回は、「クラウド」について。

解説編

ここからは、DX KEYWORD TESTの設問を図解していきます。
全部読んだら、再度問題にチャレンジしましょう!

クラウドって、なんでクラウド(雲)っていうの?

クラウドって、なんでクラウド(雲)っていうの?

みなさんは、クラウドサービスは利用していますか?

クラウドサービスとして、よく知られているものを挙げると、YouTube、iCloud、Gmail、slack、zoomなどがありますが、どれも使ったことがないという人は少ないのではないでしょうか。

では、クラウドサービスとは何でしょう?

YouTubeを例に説明します。まず、Google ChromeやSafariといったブラウザでYouTubeの動画を再生している時のことを思い出してみてください。

そのとき、サーバーやストレージといったハードウェアは準備していますか?
アプリケーションはパソコンにインストールしていますか。動画ファイルはスマホやPCに保存してありますか?

答えはいずれも「ノー」ですよね。しかし、実は、これらのITシステムは、自分で準備していないだけで、ネットワークでつながっている先のどこかに存在し、クラウドを提供する事業者によって構築されています。しかし、そんなことを気にしている人はあまりいません。何となく動画を楽しんでいる人が大半ですよね。

このようにハードウェアやソフトウェアの実体があるのに、ネットワークの先に存在しているために、その中身は見えないということが、地上から見上げても、その先が見えない雲のイメージと重なって、クラウド(雲)と呼ばれるようになったそうです。

企業でもクラウド活用が進んでいますが、クラウドが普及する前、企業は「オンプレミス」という方式で、ITシステムを管理、運用してきました。

クラウドがサーバーといったITシステムをネットワーク経由で利用するのに対し、オンプレミスとは、ITシステムを自社で購入し、社内やデータセンターに設置するといった自分たちで管理、運用する方式です。

クラウドは外部のITシステムを利用するのに対し、オンプレミスはITシステムを自社で所有するという点が大きな違いですね。

何を借りる?選べる3種のクラウド

何を借りる?選べる3種のクラウド

クラウドは、先ほど説明したように、ネットワーク経由で外部のITシステムを利用します。これは言い換えると、一時的にレンタルをしているということになります。

実はレンタルする範囲は、選ぶことができます。簡単にいうと、アプリケーション、OS(windowsやLinux)、サーバーの3つの単位で選ぶことが可能です。

アメリカにある国立標準技術研究所(NIST)というところが、3つあるうち、全部借りるか、2つだけ借りるか、1つだけ借りるかで、クラウドサービスの呼び名を分けることにしました。

まず、アプリケーションも、OSも、サーバーも全部借りるパターンをSoftware as a Service(サービスとして提供されるソフトウェア)と名付けました。略してSaaS(サース)といいます。実際にあるサービスとしてはYouTubeやGmailなどがあります。一般のユーザーが使うクラウドサービスは大体SaaSですね。

次に、アプリケーションは自分たちで好き勝手に開発するから、アプリケーションが稼働するために必要なOSやサーバーは借りたい、というパターンをPlatform as a Service(サービスとして提供されるプラットフォーム)と名付けました。略してPaaS(パース)といいます。実際にあるサービスとしてはAmazon Web Services(AWS)やGoogle Cloud Platform(GCP)などがありますが、利用者は主にエンジニアです。

最後に、サーバーというITシステムの稼働に必要な基礎だけを借りて、プラットフォームやアプリケーションは自分たちで構築したいというパターンをInfrastructure as a Service(サービスとして提供されるインフラストラクチャー)と名付けます。略してIaaS(イアースまたはアイアース)といいます。実際にあるサービスとしては、Google Compute Engine(GCE)などがありますが、利用するユーザーはICTサービスの運営者などに限られるため、SaaSやPaaSに比べるとあまり知られていません。

家具(アプリケーション)、建物(OS)、土地(サーバー)に置き換えると、SaaS、PaaS、IaaSの違いイメージがしやすいです。

SaaSはすぐに入居できる家具・家電付のアパートの一室です。完成されてすぐに暮らすことができますが、カスタマイズはできません。
PaaSは、家という箱だけがあって、間取りの設計や家具の配置も自由にできます。ただし家の外観を変えるほどのカスタマイズはできません。

IaaSは、土地だけがある状態です。最初から自由に設計できるため、自分好みの家にすることができますが、すぐに暮らすことはできません。

利便性の観点では、SaaS、PaaS、IaaSの順に高いといえますが、カスタマイズ性の観点では、これが逆転し、IaaS、PaaS、SaaSの順に高くなります。

用途や目的に応じた、使い分けが大事ですね!

クラウドは万能?想定しておくべきリスク

クラウドは万能?想定しておくべきリスク

2020年に政府が行った調査では、7割の企業がクラウドサービスを利用していたそうです。

2021年はデジタル庁が発足し、予定では2025年度末までに住民票や地方税などの標準的な17の業務システムをクラウドに移行することとしました。

官民問わず普及が進むクラウドですが、どのようなメリットがあるのでしょうか。

クラウドをつかうメリット
  • サーバーやソフトウェアを自社で用意する必要がないため、少額の投資でITシステムを利用できる。
  • クラウド提供事業者がサーバーやソフトウェアの運用、管理、保守、障害対応を行ってくれるため、自社で、そのためのスキルを持った技術者を雇ったりする必要がない。
  • クラウドではシステムやデータがネットワーク上に存在するため、ユーザーの使っている端末や居場所に関係なく、同じサービスを使うことができる。
  • 地震、台風、火災などが起きて、自社のパソコンやサーバーが破損してしまったとしても、システムやデータがネットワーク上に存在するため、破損する恐れがない。
  • クラウドは柔軟性が高く、例えば1つのサイトにアクセスが集中した場合でも、一時的にサーバーのスペックを自動的に引き上げる設定が可能で、ビジネスの機会を失うことがない。

ここまで見ると、オンプレミスよりクラウドのほうが良いと感じますが、カスタマイズに制限があったり、オンライン環境がないと利用できなかったりセキュリティ対策が十分なされてないクラウドを利用すると情報漏洩のリスクが高まったりします。

そもそも、クラウドを提供している事業者側で大規模なシステム障害が起きてしまうと、そこのクラウドサービスを使って構築されているサービスが停止してしまうというリスクも存在しています。

本当にそんなこと起きるの、と思いませんか?

しかし実際、2021年2月20日に、クラウドサービスでトップシェアのAmazon Web Services(AWS)に障害が起き、気象庁のサイトが閲覧できなくなってしまったり、暗号資産取引所を運営しているコインチェック株式会社のサービスが利用できなくなる事態が発生しました

どうやら、サーバーの冷却システムへの電力供給が正しく行われず、サーバーが過熱(オーバーヒート)してしまったことが原因だったようですが、こうしたリスクもクラウドにはあるということを理解しておく必要があります。

クラウド導入事例、オリオンビール

クラウド導入事例、オリオンビール

オリオンビールは沖縄県に本社を置く、大手ビールメーカーで、「オリオンザ・ドラフト」をはじめとして「麦職人」や「サザンスター」などを日本全国で販売しています。

同社は、2020年5月にTOMITONという商業施設内に移転することとなりましたが、それまでオンプレミスで社内システムを運用してきたため、サーバー室も移転する必要がありました

しかし、商業施設内にサーバー室のスペースを設けることは難しいということで、サーバー室を社外に移すことを決定。さらに、この機にサーバー管理にまつわる課題も解消することにしました。では、どんな課題があるのでしょう。

沖縄というと台風が多いことで有名ですが、大型台風で停電や空調の故障が起きると、システムはダウンし、復旧作業が必要です。

また、サーバーは長年使用していると老朽化し、故障のリスクが高まります。なので、オンプレミスで社内システムを運用している場合、4~5年のサイクルでサーバーの再構築が必要となり、それなりのコストと作業工数が発生することとなります。

これらの課題を解消するために、オンプレミスからクラウドへの移行を決定し、2020年7月から半年で移行を完了させました。

クラウドに移行したことで、本社のサーバー室は撤収し、IT管理者はハードウェアの管理から解放され、他の戦略的な業務に集中できるようになったそうです。

実は、オリオンビールは当初、クラウドではくハウジングサービスを検討していたようです。ハウジングサービスは、データセンター事業者が、企業にハードウェアを置くスペースを貸してあげるサービスですが、結局は資産を自社で持たなくてはいけません。そうすると、サーバーの性能が不足することを恐れて、過剰な性能のサーバーを購入してしまいがちです。

しかし、クラウドの場合だと、利用状況を踏まえて、サーバーの性能を変更することができるため、オリオンビールによれば、ハウジングサービスと比べると、圧倒的にコストを低く抑えられたそうです。

100点を目指そう!DX KEYWORD TEST(5)


DX KEYWORD TEST第五回は、「クラウド」について。

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