ARとは、Augmented Reality(オーグメンテッド・リアリティ)の略称であり、拡張現実のことを指す。
現実の世界とデジタル情報を重ね合わせることで、現実の空間を拡張させる技術だ。
ARを呼び出す方法としては主に、2D画像を認識してそこに情報を重ねるもの、GPS等の位置情報から情報を呼び出すもの、3D空間を認識して情報を呼び出すもの、の3つがある。
ARはスマホやタブレット、ウェアラブルデバイスで利用することができ、身近なところでは「Pokémon GO」や「ハリー・ポッター:魔法同盟」などのスマートフォンのアプリゲームで利用されている。
そんな身近な技術であるARだが、その活用方法は多岐にわたり様々な業界で利用されている。
BtoC向けサービス
Amazon「ARビュー」
Amazonショッピングアプリで利用できる。商品ぺージにある「部屋に表示(ARビュー)」より、スマートフォンのカメラを通して配置したい場所へ商品の3D画像を原寸大で表示することができる。
これにより、顧客は様々な角度から商品を見ることができ、商品を配置した部屋のイメージを購入前に確認することが出来る。
この機能は2017年にアメリカで導入されてから日本を含む7か国へ導入されており、家具を中心に1000アイテム以上が対象商品となっている。
AI・ARを活用したスポーツ観戦アプリ「SpoLive」
「SpoLive」はNTTコミュニケーションズによって開発された。
SpoLiveアプリをダウンロードしたファンは、購入したチームのグッズやホームグラウンド内のARマーカーにスマートフォンをかざすことで、一般には公開されていない限定コンテンツやゲーム、イベントなどのファンサービスを利用することができる。
ARで遠隔地にいる人物と同乗できるI2V技術の5G走行(実証実験)
日産自動車株式会社(以下、日産)は、リアルとバーチャルの世界を融合し、ドライバーが「見えないものを可視化」する「Invisible-to-Visible(以下、I2V)」を「ニッサン インテリジェント モビリティ」を体現する未来のコネクテッドカー技術の一つとして研究開発を進めている。
I2Vは車内外のセンサーが収集した情報とクラウド上のデータを統合することで、クルマの前方や建物の裏側、カーブの先の状況など通常では見えないものをドライバーの視野に映し出す。
さらに、ARによって車室内に遠隔地にいる人を3Dアバターとして登場させることで、実際に同乗しているかのような存在感を感じながらドライブ体験を共有することができる。
製造業向け
技術伝承ソリューション
このARソリューションは、従業員の退職に伴う現職従業員への効果的な知識・技術継承のためPTCにより開発された。
IoTとAIで収集・分析した情報を、ウェアラブルグラスを使用したARにより視覚化し、作業員の作業を効率化することが目的となっている。
熟練作業員はこのソリューションにより、重要なタスクの実行のプロセスに関する指示を簡単に記録し、新しい作業員や再配置された作業員と、迅速かつ効率的なガイダンスを共有できる。
これにより、慣れないタスクを正常に完了するための正確さと速度を向上させ、新人作業員のトレーニングのコストと生産性向上を実現するまでの時間の削減につながる。
設備保全ソリューション
コネクシオのIoTサービスと重電メーカーであるシュナイダーエレクトリックの製造現場向けARソリューション「EcoStruxure Augmented Operator Advisor」を連携させた「Smart Ready IoT AR設備保全ソリューション」は、コネクシオにより開発された。
このソリューションでは、機器の導入支援からARコンテンツ開発、PLCおよびセンサー等とのIoTデータ連携を行う。
これにより、点検記録のミス防止、設備保全作業全般の効率化、および作業ノウハウの共有と平準化による人材育成を実現する。
ARの活用方法としては、作業者がタブレットのカメラを設備にかざすと詳細データやマニュアル、操作ガイドが画面に表示され、また対象機械内部のデータも確認できるようになっている。
制御盤を開けたり高所に上ったりせずに作業に必要な情報をタブレットで全て確認できるため、点検時間を短縮するとともに作業の安全性の向上にもつながる。
無料メルマガ会員に登録しませんか?

現在、デジタルをビジネスに取り込むことで生まれる価値について研究中。IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。