IoTに必要なオープンイノベーション シスコシステムズ八子氏 OMC2016

企業:

Open Innovation, Machine Device, Cloud Network(略してOMC)という産業のオープンイノベーションとICTの利活用について話を伺う場がもたれた。その中で八子氏よりIoTに必要なオープンイノベーションについて説明された。

【登壇者】
シスコシステムズ合同会社 シスココンサルティングサービス シニアパートナー 八子 知礼 氏

IoTの前提:産業のデジタライゼーションについて

デジタル時代の勝ち組企業は、さまざまなあるが、これらの企業の特徴はデジタル上で完結していることだ。

シスコ 八子氏 OMC2016

彼らのビジネスは、下図左、「需要家のニーズ」についてはこれまでもITの活用によって効率化が実現できてきたが、現在では右の「供給家の稼働状況」もリアルタイムで状態やステータスを把握し、クラウド上にアップロードすることができるようになってきたのだという。

シスコ 八子氏 OMC2016

さらに、デジタルツインという考え方にふれた。どういう概念かというと、例えば、ミッションクリティカルな工場の設備などをデジタルの力でキャプチャし、デジタル環境の中で再現するという概念だ。具体的には多くのセンサーによって、センシングされたデータをもとにデジタル上で実際の世界を再現するというのだ。

こうやってリアルの世界のデータをどんどん集めていくことによって、デジタルツイン上でのシミュレーションの精度が上がっていき、リアルの世界の予測が可能になるというのだ。

シスコ 八子氏 OMC2016

モノの量は今後加速度的に伸びていく一方で、現状はモノから上がってくるデータをうまく活用できていない。そこで、プロセス自体もネットワークにアップロードしていくことで、自動化していくことが重要だという。さらには、人間自体もネットワークに接続した状況を前提とした生き方をしていかなければならない、と述べた。

シスコ 八子氏 OMC2016

モノがつながった世界だけに着目すると、小さな規模になってしまうので、今後は「プロセス」や「人」も含めた全体を「系」として考えるべきなのだ。

シスコ 八子氏 OMC2016

さらに、IoTは、モノからどんどん情報をアップロードすればよいということではない。分析し、アクションを取っていくことが重要なのだという。過去を振りかえっても、生産性の向上によって残業の時間が増えた。IoTのアクションの効果は、「イノベーション」であって、生産性の改革ではないのだという。

FullSizeRender 24

IoTが生む経済価値は以下の規模を見ている。特に、ファクトリーの領域は大きい。

シスコ 八子氏 OMC2016

具体的に、ハンブルグ港湾管理局の例を見てみる。下の図のように、物理的なモノやバリューチェーンをマッピングすると、横同士はつながっていないことがわかった。そこで、現在、45台のサーバの上に、コミュニケーションサービスを構築し、境目をつなげていく、そのうえでどうやって解決していくか、さらに縦もつなぐということを、このサービス基盤で解決しているのだ。

シスコ 八子氏 OMC2016

北海の油田でも、油田内のネットワークを構築し、カメラを使って安全トラッキングを行い、ビデオで指示管理をし、エンタメネットなども一つのネットワーク上で実現している。

シスコ 八子氏 OMC2016

FUNUCとの協業の事例をみても、情報をどのどんサーバにあげることで、「ちょっとした停止」を減少することで、最終的には「ゼロダウンタイム」を実現していきたいというのだ。

シスコ 八子氏 OMC2016

フィールドビューの事例では、トラクターの稼働状況を管理し、可視化し、そのうえで業務を変革するという事例をあげた。

シスコ 八子氏 OMC2016

オープンイノベーションについて

日本の工場では、「IoTの取り組みは、すでに取り組み尽くしてきた」といわれている。しかし、「モバイル」「クラウド」「アナリティクス」が実用段階に入った2010年以降の技術をフルに活用することができていないのだ。つまり、決してやりつくしていないのだ。

そこで、もう一度工場でもIoTの取り組みを進める必要があるのだという。

FullSizeRender 26

その際、様々なデバイスからの情報をクラウドにあげるのは限界があるのではないかという考えがでてきている。
そこで、現場に近いところで、クラウドではない、「エッジ」側で処理しようという動きが出ている。

FullSizeRender 22

実際、IoTWorldForumでも「エッジ」のことを提唱しており、クラウドに情報をあげるまでもなく、エッジ側で反射的に返していくことが現実的となってきている。

シスコ 八子氏 OMC2016

ところで、IoTは一社だけでは難しい。そこで、いろんな企業がリソースを共有し、いろんなプレーやーとの連携も重要だという。

FullSizeRender 23

オープンコラボレーションという、パートナーや競合とも一緒にプラットフォームをつくっていくことが重要だというのだ。例えば、P&Gでは社内のR&D部門が、他社とどうやって取り組んでいくかを考え動いているという事例が紹介された。

シスコ 八子氏 OMC2016

その結果、約10年で2倍以上の売上向上の成果が出ているというのだ。

シスコ 八子氏 OMC2016

ほかにもGEの航空事業の事例もある。これまではジェットエンジンを売るという事業だったのが、450のセンサーをジェットエンジンにいれることで予防保全メンテナンス情報を航空会社に提供し、航空機材の配置最適化を空港に対して行っている。さらにはフライトプランを最適化することができているということだ。これこそ、大きな価値(イノベーション)といえる。

シスコ 八子氏 OMC2016

インダストリアルインターネットコンソーシアムでも、多くの企業との連携によってイノベーションを起こしているということだ。

FullSizeRender 25

今後は、IT+OTのナレッジでこれまでにない価値を生み出す必要があると述べた。

シスコ 八子氏 OMC2016

2016年は、IoT現実元年とし、キーワード「Decide」というのを打ち出していると述べ、講演を締めた。

シスコ 八子氏 OMC2016

参考:八子氏の他の講演

【OMC2016関連記事】

無料メルマガ会員に登録しませんか?

膨大な記事を効率よくチェック!

IoTNEWSは、毎日10-20本の新着ニュースを公開しております。 また、デジタル社会に必要な視点を養う、DIGITIDEという特集コンテンツも毎日投稿しております。

そこで、週一回配信される、無料のメールマガジン会員になっていただくと、記事一覧やオリジナルコンテンツの情報が取得可能となります。

  • DXに関する最新ニュース
  • 曜日代わりのデジタル社会の潮流を知る『DIGITIDE』
  • 実践を重要視する方に聞く、インタビュー記事
  • 業務改革に必要なDX手法などDXノウハウ

など、多岐にわたるテーマが配信されております。

また、無料メルマガ会員になると、会員限定のコンテンツも読むことができます。

無料メールから、気になるテーマの記事だけをピックアップして読んでいただけます。 ぜひ、無料のメールマガジンを購読して、貴社の取り組みに役立ててください。

無料メルマガ会員登録