ラスベガス開催されていたCES2019レポートの第21弾はアイシンだ。
アイシンもCES2018に初出展し、今年は2年目となる。昨年はSouth Hallだったが、今年は車関連企業が多く集まるNorth Hallで出展したことで、業界関係者の多くが訪れていた。
ブースのメインは今回のCESで初公開となる体験型コンセプトカー「i-mobility TYPE-C」だ。自動運転の未来を自身がオーナーである車と、リムジンに乗車、という2つの立場で体験できるようになっていた。こういった分割した体験提供はユニークであり、自動運転時代に、車を所有する価値が大きく変わる可能性を実感させられた。
注目は昨年も出展されていたILY-Aiだ。パーソナルモビリティとして来年発売を検討しているという。コンセプトモデルではなく商用化を前提にしているため、様々な機能が搭載されている。
まずILY-Aiは、人が座って移動する「ビークル」、立ち乗りの「スクーター」、荷物を運ぶ「カート」、折りたたんで収納できる「キャリー」、4つのモードに対応している。
そして、カメラが利用者を認識し、追随走行する機能や、指定した場所に自動で移動する機能も搭載されている。後者はロボット掃除機が充電器に戻るようなイメージだ。
驚いたのは安全性能の高さだ。チームリーダーの細井氏は「若い方が乗ることはもちろんだが、日本は特に高齢者が多い。その際にいかに簡単に、そして安全に使うことができるかが何よりも重要だ。」という。実際に3Dライダーという独自センサーが、路面の常態を立体的に把握し、段差を避け転倒を防ぐことや、溝での脱輪を防ぐという。ブースではILY-Aiの動作エリアだけ濃い色の絨毯になっていて、色調を判断してそのエリア外に出ないようになっていた。実際に無人走行のデモを見たが、エリアの手前で止まることはもちろん、人を認識して接触を防いでいた。
ブースを見て、アイシンには自動車製造で培った技術があることはもちろんだが、それ以上に、モビリティサービスを世の中に提供する上で“安全性”ということを追求しなくてはならないというメッセージが強く感じた。これからも様々なモビリティビークルが世の中に搭乗していくことが予測されるだけに、安全性の領域はますます重要になっていくだろう。
■CES2019レポート
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未来事業創研 Founder
立教大学理学部数学科にて確率論・統計学及びインターネットの研究に取り組み、1997年NTT移動通信網(現NTTドコモ)入社。非音声通信の普及を目的としたアプリケーション及び商品開発後、モバイルビジネスコンサルティングに従事。
2009年株式会社電通に中途入社。携帯電話業界の動向を探る独自調査を定期的に実施し、業界並びに生活者インサイト開発業務に従事。クライアントの戦略プランニング策定をはじめ、新ビジネス開発、コンサルティング業務等に携わる。著書に「スマホマーケティング」(日本経済新聞出版社)がある。